06年の「第59回カンヌ国際映画祭」での最高賞であるパルムドールに輝いた「麦の穂をゆらす風」などで知られる英国の名匠ケン・ローチ監督の最新作「ルート・アイリッシュ」のシンポジウム試写会が19日、東京都内で開催され、APF通信社代表の山路徹さんと国際政治アナリストの菅原出さん、ジャーナリストの安田純平さんが登場。山路さんは「戦争というのが商売で、それを邪魔するものは許さないという恐ろしい世界がある。(戦場に赴いて)戦争を知っている者としてこの映画にはリアリティーを感じた。戦争の本当の姿を伝えるのに優れている映画」と絶賛した。
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「ルート・アイリッシュ」は、コントラクター(民間兵)と呼ばれる兵士に焦点を当て、戦争をめぐる恐るべき犯罪に迫る。「ルート・アイリッシュ(ROUTE IRISH )」は、イラクのバグダッド空港と市内の米軍管理区域グリーンゾーンを結ぶ12キロに及ぶ道路。03年の米軍によるイラク侵攻以降、テロ攻撃の第一目標とされ、“世界一危険な道路”として知られている。民間警備会社からイラクに派遣されたイギリス人民間兵・ファーガスは、親友のフランキーと共にバグダッドに足を運ぶ。しかしフランキーはルート・アイリッシュで死亡してしまう。当局が発表した死因に納得がいかないファーガスは真相を探ろうとするが、そこには恐るべき真実が隠されていた……というストーリー。映画は31日公開。
山路さんは「戦争は一番大きな公共事業。最大のビッグビジネス。戦場には小さな弾から大きな砲弾まで飛び交い、戦車や戦闘ヘリが動き回っている。そこで“活躍”している武器のほとんどは国連の常任理事国の5カ国が作っている武器。それが被害を生んでいる一方で、PKOで軍隊を派遣しているという矛盾に満ちた現実がある」と訴えた。「民間軍事会社の内幕」などの著書がある菅原さんは「民間兵士が大量発生したイラク戦争は大義がなかった戦争だから」と民間軍事会社がビジネスとしてイラク戦争に参加していった過程を説明した。
また、民間軍事会社の料理人として現地に入り、取材をしたという安田さんは「戦争に行けば、貧乏から脱出できるとイヤイヤではなく少しでも良い暮らしを求めて戦争に行くという現象が起きている」と語った。山路さんは「この映画を見てイラクやアメリカの問題としてではなく我々の問題として考えてほしい。日本だっていつ戦争が始まるか分からない。民主主義で一人一人の一票で政治家を選ぶことができるからこそ我々の責任は重い。戦争の本質を知る一つの材料にしてほしい」と映画をアピールした。(毎日新聞デジタル)
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