本屋大賞:三浦しをんさんの「舟を編む」が受賞 辞書づくりに懸ける情熱ストーリー

1位「舟を編む」三浦しをん(光文社)
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1位「舟を編む」三浦しをん(光文社)

 全国の書店員が「一番売りたい本」を選ぶ12年の「本屋大賞」が10日発表され、三浦しをんさんの「舟を編む」(光文社)が大賞に輝いた。三浦さんは壇上に立ち「さっきまで実感がなかったが、うれしい気持ちがどんどん湧いてきています」と喜びの表情を見せ、取材先の出版社や製紙会社に感謝の言葉を述べ、「辞書が多くの人にとって身近な書物だったからこそ、こうやって手に取っていただけたのだと思います」とあいさつした。

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 三浦さんは76年東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。00年に就職活動をテーマとした「格闘する者に○」でデビュー。05年に「私が語りはじめた彼は」が山本周五郎賞候補、「むかしのはなし」が直木賞候補となり、06年に「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した。同作は瑛太さんと松田龍平さんのダブル主演で映画化され11年4月に公開、続編の連続ドラマ化も決まっている。

 「舟を編む」の主人公は、玄武書房に勤める馬締光也。馬締は、営業部で“変人”と呼ばれていたが、辞書編集部に迎えられ、新しい辞書「大渡海」を編集することになる。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる学者、徐々に辞書に愛情を持ち始める“チャラ男”など個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する……というストーリー。

 本屋大賞は「売り場からベストセラーを作る」をコンセプトに04年に創設され、毎年、書店員が選考して表彰しており、今回で9回目。これまで「ゴールデンスランバー」(伊坂幸太郎さん、08年)や「告白」(湊かなえさん、09年)、「天地明察」(冲方丁さん、10年)、「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉さん、11年)などが受賞し、多くのベストセラーを生み出してきた。「謎解きはディナーのあとで」は人気グループ「嵐」の櫻井翔さん主演、女優の北川景子さん共演で11年にドラマ化、10年の「天地明察」は人気グループ「V6」の岡田准一さん主演で9月に映画公開が予定されているなど、大賞受賞作品はすべて映像化されている。

 今回は10年12月1日~11年11月30日に刊行された日本の全小説を対象に、全国431書店560人の投票でノミネート作品10作を選出。大賞を選ぶ2次投票では302書店371人が投票し、三浦さんの「舟を編む」が選ばれた。(毎日新聞デジタル)

 ◇最終順位(敬称略)

 1位「舟を編む」三浦しをん(光文社)▽2位「ジェノサイド」高野和明(角川書店)▽3位「ピエタ」大島真寿美(ポプラ社)▽4位「くちびるに歌を」中田永一(小学館)▽5位「人質の朗読会」小川洋子(中央公論新社)▽6位「ユリゴコロ」沼田まほかる(双葉社)▽7位「誰かが足りない」宮下奈都(双葉社)▽8位「ビブリア古書堂の事件手帖−栞子さんと奇妙な客人たち」三上延(アスキー・メディアワークス)▽9位「偉大なる、しゅららぼん」万城目学(集英社)▽10位「プリズム」百田尚樹(幻冬舎)

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