第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリに輝いた「わが母の記」(原田眞人監督)が28日から公開される。昭和を代表する国民的作家・井上靖の自伝的小説を映画化したもので、原作者の“分身”である主人公・伊上洪作を役所広司さんが、その母・八重を樹木希林さん、洪作の三女・琴子を宮崎あおいさんが演じている。
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小説家の伊上洪作は、幼いころ、母に捨てられたという“記憶”から、彼女に対して複雑な心境を抱いていた。そんな中、物忘れがひどくなる一方の八重の面倒を、家族と2人の妹とみることになる。映画は、徐々に記憶を失っていく八重と、それを見守る子供たち、そして八重の自分に対する“本心”に気付いていく洪作を、静かに描いていく。
さあ、泣きなさいといわんばかりの演出はここにはない。悲しい場面はあるが、どこかサバサバとしていて、笑いさえ漏れる。それぞれに“わが母”の姿を八重に重ね、自分が感じるところで笑い、あきれ、もちろん涙する人もいるだろう。そんなふうに、誰もがどこかに共感できる作品だ。
役所さんはもとより、樹木さん、宮崎さんら出演者の演技が重厚で素晴らしい。洪作の妻役の赤間麻里子さん、長女役のミムラさん、次女役の菊池亜希子さん、そして、洪作の2人の妹、キムラ緑子さんと南果歩さん、さらに洪作の運転手の三浦貴大さんに至るまで、すべての人物が厚みのある描かれ方をしており、しっくり収まっている。28日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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