樹木希林:「予算なくても演技で」外国人記者に役者魂見せつける

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 樹木希林さんが18日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で開催された映画「わが母の記」の記者会見に登場。主人公の老いゆく母を演じた樹木さんは、外国人記者からその演技を絶賛されると「日本の映画は経済的に貧しいんです。ハリウッドの『マーガレット・サッチャー 鉄の女』のようにメーキャップアーティストがついて時間とお金をかけてもらえない」と日本映画界の“窮状”を訴え「どのような状況にあってもそれに合わせて老けていきました」と役者魂をみせつけた。役所広司さんも「撮影の中の食事はベントウです。売れっ子役者ほど体がベントウでできているんです」とジョークを飛ばし笑いを誘っていた。 

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 映画は井上靖さんの自伝的小説が原作で、11年8月にカナダ・モントリオールで開催された「第35回モントリオール世界映画祭」で審査員特別グランプリを受賞した。親子の絆を豪華キャストで描いた作品で、役所さん演じる伊上洪作の母を樹木さん、娘を宮崎あおいさん、ミムラさん、菊池亜希子さんが演じるほか、三国連太郎さん、南果歩さん、キムラ緑子さんも出演している。監督は映画「クライマーズ・ハイ」(08年)などで知られる原田眞人監督。

 昭和39(1964)年、小説家の洪作(役所さん)は、父・隼人(三国さん)が亡くなったことから、実母・八重(樹木さん)の面倒をみることになる。幼少期、母親とともに暮らしてこなかった洪作は、妻と長女・郁子(ミムラさん)、次女・紀子(菊池さん)、三女・琴子(宮崎さん)、妹の桑子(南さん)や志賀子(キムラさん)たち“家族”に支えられ、自身の幼いころの記憶と、八重の思いに向き合うことになる。八重は、次第に薄れてゆく記憶の中で、“息子への愛”を必死に確かめようとし、息子は、そんな母を理解し、受け入れようとする……という物語。映画は28日公開。

 樹木さんは「撮影の順番も、若いときのシーンを撮った1時間後に老けたシーンを撮ったり。配慮は一切ありません。1年の四季も1カ月で撮っている。夏のシーンを2月の軽井沢で撮ったんですが、雪が降って。でもそこは(原田)監督の才能ですね。早速脚本を雪のシーンにしました。監督はすべてのアクシデントを自分で料理するんです。私もそれにならい、どのような状況にあってもそれに合うように老けていきました。Thank you」と“スピーチ”し外国人記者から喝采を浴びていた。

 役所さんも「いつか監督にふんだんな予算と時間を与えてもらって映画を撮ってほしい。ハリウッドから莫大(ばくだい)な予算でオファーがくるかもしれない。でも監督のことだから『だったらこの予算で4本分撮らせてください』って言うだろうな」と笑った。会見には原田監督も出席した。(毎日新聞デジタル)

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