不景気による番組制作費の節減やライフスタイルの変化に伴い、深夜番組にも新たな波が訪れている。「アメトーーク!」「お願い!ランキング」など、テレビ朝日が圧倒的に強い深夜帯に、日本テレビが4月から「プラチナイト」と題した新しい枠を引っさげ、本格的な戦いに乗り出した。
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テレビ局の好不調のバロメーターとして重要な位置を占める視聴率だが、各局が発表するデータは午前6時~深夜0時の「全日帯」、午後7~10時の「ゴールデン帯」、同7~11時の「プライム帯」の三つに大きく分けられている。一般的に深夜0時以降の「深夜帯」は、視聴者数が大きく減少することもあって、必ずしも重要視されていないのが現状だ。
現在深夜帯で圧倒的な支持を受けているのがテレビ朝日だ。ニュース番組「報道ステーション」放送後の午後11時15分から、「マツコ&有吉の怒り新党」「アメトーーク!」などのバラエティーを曜日替わりで放送。その後の帯番組「お願い!ランキング」まで強力なラインアップだ。午後11時~深夜1時の2時間を「プライム2」と名付けて視聴率も別途発表。4月は平均で8.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、月間視聴率「四冠王」にも輝いた。
こうしたテレビ朝日の“独り勝ち”状態に対し、9年ぶりに年度視聴率「三冠王」を奪還した日本テレビが新たに打ち出した55分の深夜枠が、月~水曜の午後11時58分から放送される「プラチナイト」だ。月曜は、毒舌で人気のマツコ・デラックスさんと「関ジャニ∞(エイト)」の村上信五さんのトークバラエティー「月曜から夜ふかし」を配し、火曜には、さまざまな芸能ゴシップを扱って人気を集めた月曜深夜の「芸能★BANG!」を、放送時間を拡大し、名称も「芸能★BANG+(プラス)」に変更して移動させた。水曜には、「ブラックマヨネーズ」「ロッチ」「ハリセンボン」の人気お笑いコンビ3組がさまざまな企画にチャレンジする「ピロロン学園」を放送している。
「深夜帯には全日帯とは別の価値が求められているのでは」と語るのは「プラチナイト」を担当する日本テレビ編成局の鈴木淳一さんだ。これまで同局の深夜番組は、最終的なゴールデン帯への進出などを目的とした実験的な番組開発が主流だったが、視聴者のライフスタイルがより深夜にずれこんでいる現状をふまえて「放送時間も55分に拡大して、その時間(深夜)に見てくれている人に、しっかり根付く番組を目指した」と語る。
スタッフ陣も一線級をそろえた。「月曜から夜ふかし」を手がけるのは「世界の果てまでイッテQ!」の古立善之さん、「芸能★BANG+」は「誰だって波瀾爆笑」の渡辺政次さん、「ピロロン学園」は「踊る!さんま御殿!!」「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の大友有一さんと、同局を代表する人気番組のスタッフが担当。トークバラエティーの「月曜から夜ふかし」、ワイドショー的な「芸能★BANG+」、同局では珍しいキャスト固定の“座組み”スタイルの「ピロロン学園」とそれぞれ個性的な番組に仕上がっている。
鈴木さんは、「アメトーーク!」「怒り新党」といった人気深夜番組は、テレビ朝日のブランド戦略にも一役買っていると分析。「(アメトーーク!のように)たまにゴールデン帯でスペシャルをやって、より多くの人に見てもらうきっかけになれば」と話す。さっそく4日午後7時からは「芸能★BANG+」が初のスペシャル番組も放送予定で、「いつかは(午後11時放送の)『NEWS ZERO』をはさんで、スペシャルとレギュラー放送の『サンドイッチ編成』もやってみたい」と語る。今後の動向にも注目が集まりそうだ。(毎日新聞デジタル)
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