朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第68回 エルバート・ハバード「ガルシアへの手紙」

「ガルシアへの手紙」作・エルバート ハバード(総合法令出版)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「ガルシアへの手紙」作・エルバート ハバード(総合法令出版)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第68回はエルバート・ハバードの「ガルシアへの手紙」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 ゴールデンウィークも終盤ですが、皆さんはどこかにお出かけしましたか?

 ゴールデンウィーク前に各地で次々とオープンした複合施設などに遊びに行く方がいる一方、どこに行っても混雑しそうだと二の足を踏んでしまった方もいるのではないでしょうか。

 でも、せっかくのまとまった時間、何かしないともったいないですよね。

 ここは思い切って、「哲学書」など読んでみるのはいかがでしょうか?

 実はこの時期、有名な哲学者お二人がお誕生日を迎えていますので、ここでご紹介したいと思います。

 まず5月3日は、ルネサンス期のイタリア・フィレンツェ共和国の思想家、ニッコロ・マキャベッリさんのお誕生日です。

 1469年生まれのマキャベッリさんは、理想主義・政教一致が普通だった当時に現実主義の政治哲学を唱えた「君主論」を執筆、後世に読み継がれる作品となりました。

 そしてもう一人、5月5日は、ドイツ・プロイセン王国の経済学者であり哲学者、カール・ハインリヒ・マルクスさんのお誕生日です。

 1818年生まれのマルクスさんは、1867年から発表された「資本論」の3部作でその名を知られていますね。

 内容は資本主義社会を徹底分析したものですが、実際はその問題点を指摘し、いずれ社会主義の時代が来るという「資本主義否定」の本になっていました。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部とある女の子の出会いのエピソード、最終回です。

 みかえさんの妹、ちなさんは、朗読倶楽部のメンバーに何か思うところがあるようで、話をしようとしてもまともにとりあってもらえません。

 見かねたみかえさんがやんわりとたしなめたところ、ちなさんは突然泣き出してしまって……

 すると、それまでずっと黙っていた先生が、

 「話した方がいい」

 と、ちなさんを促し……その言葉に背を押されるように、彼女は話し始めました。

 みかえさんが去年留学して離れ離れになっていた時、彼女を思って我慢したものの、相当に寂しい思いをしていたこと。

 留学から帰ってまた以前のように過ごせると思っていたら、家から遠い学校へ進学を決めた上、朗読倶楽部存続のために練習時間を増やしたことで帰宅が遅くなっていたこと……。

 これは、彼女が朗読倶楽部を嫌うのも無理のないことだと私が言葉を詰まらせていると、突如部長さんが、

 「そこまでお姉ちゃんと一緒に居たいなら、朗読倶楽部に参加しちゃいなさい!」

 ……と、声高らかに提案したのです。

 その後、少しずつ倶楽部に顔を出すようになったちなさんが私たちの学校に転校し、朗読倶楽部に入部するのは、また別のお話……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 エルバート・ハバード「ガルシアへの手紙」

 こんにちは、今回ご紹介する1冊はアメリカの作家・哲学者、エルバート・ハバードさんの「ガルシアへの手紙」です。

 1899年、エルバート・ハバードさん自らが編集していた「フィリスティンマガジン」の3月号に初めて掲載されました。

 その内容の普遍性から現在でも多くの人に読まれているこの作品はなんと、わずか1時間で書き上げたものと言われているんですよ。

 世界37ヶ国語に翻訳され、1913年には発行部数4000万部を突破したという大ベストセラー作品、その内容は……?

 1898年、アメリカとスペインの間に起こった米西(べいせい)キューバ戦争の中、アメリカの大統領マッキンリーさんは、現地の情報に詳しいキューバ独立指導者のガルシアさんと連絡を取ろうとしていました。

 しかし、反乱軍として山奥に潜伏する彼の所在を知るものは、誰もいません。

 ある人が、大統領に進言しました。

 「ローワンなら、必ずや大統領のためにガルシアを見つけてくれるでしょう」

 こうして呼び出されたアンドリュー・サマーズ・ローワンさんは、その4日後に大統領の手紙を胸に忍ばせて単身キューバへと乗り込み、さらに3週間後には無事任務を達成してみせたのです。

 彼はどのような超人的な能力をもって、敵地を横切りジャングルをさまよい、どこにいるのかも分からないガルシアさんを探し出すという困難な使命を果たしたのでしょうか?

 皆さん、その秘密を知りたいと思いますが、実はこのお話の趣旨はそこにはありません。

 では、語り手のエルバート・ハバードさんが、ローワンさんの行動を通じて訴えたかったこととは……?

 このお話はローワンさんのような、「人々が求める理想の人物像」について言及されているのですが、それはローワンさんへの賞賛とは対照的に、とても辛辣な言葉で書かれています。

 でも、そこからは「こんなに言われて悔しくないのか? ならローワンになってほしい」という語り手の強い激励のメッセージが感じられます。

 皆さんもぜひ一読して、「求められる人物像」について考えてみませんか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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