小山力也:DVD「スパルタカス」の主人公の声を担当 「人間的なスケールの大きさにあこがれる」

1 / 4

 映画「スパイダーマン」シリーズで知られるサム・ライミ監督が制作総指揮を務めた米国のスペクタクルドラマ「スパルタカス」の第1シーズンのDVDとブルーレイディスク(BD)のボックスセットと「Vol.1」が11日、発売された(レンタルも同日スタート)。日本語吹き替え版では、故アンディ・ホイットフィールドさんが演じた主人公スパルタカスの声を、米ドラマ「24−TWENTY FOUR−」の主人公ジャック・バウアーの声などで知られる声優の小山力也さんが担当した。小山さんに「スパルタカス」をアフレコしたときの苦労や見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 「スパルタカス」は、ローマ時代の伝説的な剣闘士(グラディエーター)、スパルタカスの波乱の人生と戦いの日々を描いたアクションドラマ。ライミ監督が制作総指揮を務め、VFXを駆使して映画級スケールで描かれるスペクタクルロマンや鍛え抜かれた肉体美で魅せるバイオレンスとエロスなど、センセーショナルな内容が全米でヒットを記録。シーズン1が話題となり、すぐにシーズン2、3の制作が決定し、シーズン1の前日譚となる「スパルタカス序章 ゴッド・オブ・アリーナ」も制作された。

 −−今回のオファーが来たときにどう感じましたか?

 非常に歴史上の有名なお話で、いっぱい映画があったりしてますので、今度どんなドラマなのかと思って大変興味深く思って、うれしかったですね。海外ドラマが本当このごろ少なくなってね。やっぱりハリウッドの力を結集したようなドラマをこれからもぜひやりたいなと思っていたので、本当にうれしかったです。

 −−スパルタカスという男の生きざまについてどう思いますか。

 こんなに追い込まれて、よくぞめげずに戦ったということが一番ですね。人間としてのスケールの大きさに、やっぱりあこがれます。とてもここまで、精神的にも、もちろん肉体的にももたないですけど、実際にそこまで自分自身、不撓(ふとう)不屈で立ち上がって、あらゆる逆境を乗り越えて自分に反対した者まですべてを巻き込んで圧倒的な数の力をひっくり返してそれを戦ったわけですからね。やっぱりその精神力たるや、もう他に類ないものですね。

 −−サム・ライミ監督が制作総指揮を務めていますが、監督の作品についての思い入れやエピソードがあれば教えてください。

 「スパイダーマン」(の吹き替え版)は僕、出たことないんですけど、映像がやっぱりものすごく凝ってますものね。アメコミが原作ですけど、それを本当に大人が見られるところまで、次元をグッと引き上げたという感じがしました。「スパルタカス」も、そうですからね。大人のエンターテインメントとしてここまでやりながらも、格調高いところが魅力ですね。

 −−雄たけびを上げるなど、戦いの激しいシーンも多いですが、声で表現するときにどのような工夫をされましたか。

 僕らは海外の完成品にあとから日本語としてあててるので、とにかくその本国で周到な準備をして、ものすごい才能を集めてそして時間をかけてお金をかけて、そして大変な技術力で作り上げて、しかもそれをまたもっともよいところを編集したあとから声をはめるので、とにかく小手先のことにならないようにということを一番考えました。向こうは最大限あらゆるものの力を結集したかたまりですからね、そこにただ単に日本語をぺたっと上乗せしただけにならないよう、説明だけにならないようにということを一番考えます。血の通った本当の音声になれるようにと考えました。

 −−逆に落ち着いたシーンはどのような声の出し方をしましたか。

 派手なアクションがありながらも、その人間関係の描き方がいいかげんでなくて、この作品は人間関係が非常に周到に準備され、細かい心のひだも丁寧に描かれていますので、そういう意味でもやりがいがありました。だから、向こう(米国)の俳優も素晴らしいですからね。どこかで勝てるように、ここはこちら(日本語吹き替え版)が勝ったぞというところができるようにというふうな話はみんなで話しながらやってました。

 −−「スパルタカス」をDVDやBDで楽しむ人に向けて見どころとメッセージをお願いします。

 とにかくもう、一目見ればとりこになるような恐ろしい魅力があります。深い映像の迫力と、俳優がまさに肉体だけでこのためにここまでやったのかと、ここまで自分を追い込んだのかという体と演技、女性陣たちの魅力と人間ドラマにとにかくグッと引き込まれると思います。こういうバイオレンスとエロスを売り物にしたものはたくさんあって、それぞれ表面上の過激さだけを追い求めがちですが、「スパルタカス」は印象深いですね。だから僕も繰り返し見たくなりましたし、どんどん見れば違う部分での発見がありますので、ぜひ繰り返し見て浸っていただきたいと思います。

 −−小山さんの今後の予定を教えてください。

 まずはこのドラマのセカンドシーズンをやらせていただくことになっていますので、それがまた大変楽しみですね。俳優さん(ホイットフィールドさん)が病気でお亡くなりになって、まだお若い(享年40)し、ここからどんなスターになるのかと思っていたら、またそれも本当に悲劇的なことでしたしね。いったん、復帰されたとうかがっていたんですが……。天国に行ってしまわれて、今度はまた違う俳優さん(リアム・マッキンタイアさん)が主人公を演じられるので、だから今度(セカンドシーズン)は僕でないのかもしれないと思っていたんですが、「お前で行くよ」といってくださったんで、非常に光栄だなと思って、まずこれに懸けているところが大きいですね。他の(日本の)役者さんたちも、僕の大好きな方たちがたくさん集まってくださって、日本側も力を入れて作っているので、また皆さんとできるのが非常に楽しみです。

 *……「スパルタカス」は、「Vol.1」が1490円、DVDコレクターズボックス(Vol.2~7+特典ディスク)が9240円、ブルーレイボックス(4枚組み、本編13話+特典映像)1万3650円で販売中。11日からVol.1~7のレンタル開始。発売元:20世紀フォックスホーム エンターテイメントジャパン

 <プロフィル>

 1963年12月18日生まれ。京都府出身。声優、俳優、ナレーター。88年、劇団俳優座に入団し、「白痴」で初舞台を踏む。00年ごろから欧州での舞台公演に積極的に参加し、01年にアントーニオ役で出演した「ヴェニスの商人」で、第9回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。声優としては95年の米ドラマ「ER緊急救命室」の小児科医ダグ・ロス役でデビュー。その後も数多くの洋画や海外ドラマに吹き替えで出演しており、ジョージ・クルーニーさんの吹き替えはほぼ専属で担当している。また「24」をきっかけにジャック・バウアー役のキーファー・サザーランドさんの吹き替えも数多く担当するようになった。00年以降はアニメやゲームなどにも多く出演。09年から「名探偵コナン」の2代目・毛利小五郎役に抜てきされた。11年、第5回声優アワード「富山敬賞」を受賞。

写真を見る全 4 枚

テレビ 最新記事