注目映画紹介:「ファミリー・ツリー」 クルーニーが娘に手を焼く父役 家族の痛みと絆描く

「ファミリー・ツリー」の一場面 (C)2011 Twentieth Century Fox
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「ファミリー・ツリー」の一場面 (C)2011 Twentieth Century Fox

 ジョージ・クルーニーさんがこれまでのイメージを破り、娘に手を焼き、面目丸つぶれでオタオタするパパぶりを見せる映画「ファミリー・ツリー」が18日に公開された。「サイドウェイ」(04年)のアレクサンダー・ペイン監督が手掛け、家族が変わっていくさまと人生の痛みを、ハワイを舞台に俯瞰(ふかん)の視点で見つめさせる。スラック・キー・ギターを使った音楽が作品にマッチしていてすてきだ。

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 オアフ島に住む弁護士のマット・キング(クルーニーさん)はボートレース中の事故で昏睡(こんすい)状態の妻を看病している。ショックから不安定になった次女に手を焼き、長女からは妻が浮気していたことを知らされるマット。さらに、祖先カメハメハ大王から引き継いだ土地を売るかどうかの決断も迫られていた。マットは妻の浮気相手に会ってやろうと、相手が滞在している島を訪ねることにする。

 仕事人間で家族を顧みなかった男マットに、次々と人生の転機が突きつけられる。弁護士なのだから他人の問題には数多くかかわってきただろうに……と想像すると、そのうろたえぶりがおかしく、自分のこととなると大人は弱いものなんだと見る人の共感を呼ぶ。そんなクールな皮をかぶった大人に対して、思春期の娘は感情むき出しだ。娘役の2人が好演で、複雑な心境を表情豊かに演じてクルーニーを振り回す。分かり合ったり、分かり合えなかったり。家族も他人であり、他人もつながっている。祖先からの土地に抱かれ、家族の痛みを温かさに変えている。18日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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