ラノベ質問状:「それがるうるの支配魔術」 “魔術”のイラスト化に苦心

土屋つかささん作、さくらねこさんイラストの「それがるうるの支配魔術(イレギュラー)」
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土屋つかささん作、さくらねこさんイラストの「それがるうるの支配魔術(イレギュラー)」

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、“世界災厄の魔女”のヒロインとなぜか“魔術”にかからない主人公のドラマを描いた「それがるうるの支配魔術(イレギュラー)」(土屋つかさ著、さくらねこ画)です。角川書店スニーカー文庫編集部の上野新さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 この作品は、人の認識や常識を書き換えて超常現象(あるいは不可思議な空間)を生み出す「理操魔術」を中心に、“世界災厄の魔女”と呼ばれる少女・るうると、なぜか「理操魔術」がかからない少年・タマキとの学園ストーリーです。炎や氷など目に見える形ではなく、いつの間にか誰かの魔術の支配下にあるという驚きと、それを見破っていく楽しみがあります。また、ヒロインのるうるの天真爛漫(らんまん)なふるまいには、あたかも小動物を眺めているようなほっこり感がありますね。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 著者の土屋先生はアナログゲームが趣味で、前作の「放課後の魔術師」でも作中にいくつかゲームを登場させていました。新作のネタを何本か出していただいて、打ち合わせを重ねていくうちに、その知識を生かして物語の中でゲームが進んでいるような、あるいはパズルを解いていくような楽しさを盛り込めないだろうか、と考え始めたのがきっかけだったと思います。

 −−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?

 さくらねこ先生にイラストをお願いしたのは、柔らかい印象の女の子を描ける点ですね。この作品全体もそうですが、特にヒロインのるうるは、ふわふわとした子供のような小動物のような印象の女の子なので、さくらねこ先生なら表現していただけると考えました。いつも原稿をお送りすると、すぐに読んで感想をいただけるので、もしかしたら一番のファンかもしれません。

 −−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

 るうるがタマキにじゃれつくシーンも可愛らしくてニヤニヤしますが、やはり仕掛けられた「理操魔術」を見破っていくシーンは読んでいて楽しいですね。魔術をやぶるタマキと視点を共有できるので、すごく臨場感があるんです。大変なのは、この魔術をイラストにするのが難しいこと。見た目で分かりにくい場合や、逆にイラストにすると一発でネタバレになる場合もあるので、さくらねこ先生にどのシーンのイラストをお願いするか、いつも悩みますね。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 ほんわかとした作品ですが、実は次第にクライマックスに入りつつあります。次の5巻では、これまでちりばめてきた謎や過去が明らかになっていきますので、シリーズを読んでいただいている皆さん、楽しみにお待ちください! そして未読の皆さんも今ならまだまだ追いつけますので、一度手にとっていただけるとうれしいです。

 角川書店 編集局第5編集部 スニーカー文庫編集部 上野新

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