朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第84回 オー・ヘンリー「よみがえった改心」

「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第84回はオー・ヘンリーの「よみがえった改心」だ。 

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 9月に入り、新学期が始まった学校も増えたようですね。

 私の通っている学校は土曜日にもかかわらず、9月1日が始業式でした。

 実はこの日は「防災の日」で、学校でも避難訓練を行うことになっていたんです。

 教室で授業中に大きな地震があった……という想定で校庭に避難したんですけれど、まさか避難訓練が終わってからそのまま校庭で始業式を始めてしまうとは思いませんでした。

 ……これは、「合理的」と言って良いのでしょうか?(^−^;

 さて今回は、9月6日にお誕生日を迎えた3人の作家さんをご紹介させていただきたいと思います。

 まず最初は、オーストリアの作家、フェーリクス・ザルテンさん(1869年生)。1923年に発表された子鹿の物語「バンビ」の作者として知られています。ディズニーアニメでご存じの方も多いのではないでしょうか?

 続いて、SF作家の星新一さん(1926年生)。 生涯1000を超える膨大な作品を執筆したといいますから、「ショートショートの神様」と呼ばれるのも納得ですね。 この日は星新一さんのシンボル「進化した鶴」にちなんで「ホシヅルの日」と呼ばれています。

 最後に、推理作家の西村京太郎さん(1930年生)。時刻表トリックを利用した推理を行う「トラベルミステリー」の第一人者であり、「十津川(とつがわ)警部」シリーズは現在も続く人気シリーズです。駅の売店で本を手に取られた方も多いのではないでしょうか。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……最後の大会前のお話、最終回です。

 小口のどかさんが所属する文芸部朗読サークルと、心機一転で臨んだ私たち朗読倶楽部との朗読交流戦。双方の顧問の先生による判定の結果は、文芸部朗読サークルの勝ちとなりました。

 結局負けてしまった私たちでしたが、心は晴れやかでした。それは交流戦を通じて、さまざまな発見があったからです。試合の直前で本を交換するというサプライズによって、私たちは三つの大切なことを知りました。

 まず一つは前回お話しした通り、「聴いてもらう相手の存在」を改めて意識できたこと。

 これを意識することで、朗読倶楽部存続の焦りゆえに陥っていた「相手に勝つ」という考えから、「相手に楽しんでもらう」という考えに、気持ちを切り替えることができました。

 もう一つは、自分の本をほかの人に朗読してもらうことで、新しい発見がいくつもあったこと。

 間合い、力点、感情の込め方など、自分の朗読との違いがそのまま良い点悪い点を浮き彫りにしてくれました。

 そして最後に。

 本の交換を提案した小口さんが、まるで交換の意味を知らなかったかのように、私たちと同じ感想を漏らしていたので、少しおかしいなとは思っていたのですが……。

 実はこれを発案し、小口さんに提案するよう仕込んだのは、癸生川先生だったということ。

 先生と、協力してくれた小口さんをはじめとする朗読サークルの皆さん……私たちを応援してくれている人がいるという事実に改めて勇気づけられる思いがして、「この恩は必ず大会でお返ししよう」と、私たちは決意したのでした。

 ……と、いうところで、交流戦のお話はこれで終わりです。

 次回からまた、新しいお話になりますのでよろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 オー・ヘンリー「よみがえった改心」

 こんにちは、今回ご紹介する作品は名作「賢者の贈り物」をはじめとする短編作家の名手で、9月11日には生誕150年を迎えるオー・ヘンリーさんの「よみがえった改心」です。

 彼の数多い傑作短編の中でも代表作の一つとなる本作は、晩年の1909年に発表されました。

 ジミー・バレンタインさんは金庫破りの名人。

 「ダンディ・ジム」の異名を持つ彼は、自作の金庫破り道具でどんな新型の金庫でもスマートに開けてしまい、証券や貴金属などには目もくれず狙うのは現金だけ。他人にまねのできない鮮やかすぎる手口ゆえに逮捕されたこともあるものの、多方面に友人の多い彼は短期刑や恩赦であっさり出獄してしまい、再び金庫破りを続けるのでした。

 ある日、自慢の「仕事道具」を収めたスーツケースを持って、地方の町「エルモア」を訪れたジミーさん。

 狙うはもちろん金庫……のはずでしたが、たまたま出会った銀行家の令嬢アナベルさんに一目ぼれしてしまいます。

 金庫破りか、恋か……二者択一を迫られた彼は、今までの自分と決別してラルフ・D・スペンサーを名乗り、刑務所で靴の修理をしていた経験を生かして靴屋さんを始めました。

 そして1年後、靴屋として成功し、アナベルさんと婚約することもできた「ラルフ」には、もはや「ダンディ・ジム」への未練はきれいさっぱりなくなっていたのです。

 結婚を機に顔が知られていない西部に移住する決意を固め、あの自慢の仕事道具が入ったスーツケースも親しい友人に譲ってしまおうとする「ラルフ」さん。

 しかしそのころ、かつて「ダンディ・ジム」を捕まえ、今も彼を追う名刑事ベン・プライスさんが、ついにその足取りをつかんで「エルモア」に現れたのです……。

 オー・ヘンリーさんの代表作の一つ「最後の一葉」で「最後の一枚の葉が落ちたときに私の命も……」というシチュエーションは後に数多くのフォロワー・パロディーを生み出しましたが、このお話の結末もまた、後の作家さんたちに大きな影響を与えていると思います。

 未読の方はぜひ、読んで確かめてみてくださいね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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