朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第91回 宮沢賢治「オツベルと象」

「オツベルと象」著・宮沢賢治の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「オツベルと象」著・宮沢賢治の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第91回は宮沢賢治「オツベルと象」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 今年も読書週間の季節がやってきました!

 文化の日を挟んだ10月27日から11月9日までの毎年恒例行事、第66回を迎える今回の標語は「ホントノキズナ」。

 「本との絆」とも「本当の絆」とも受け取れる、すてきな標語ですよね。普段本をあまり読まないと言う方も、この機会に何か一冊手にとってみてはいかがでしょうか?(^−^)

 さて、「読書の秋」の話題の次は、「食欲の秋」の話題。

 皆さん、パスタは好きですか? 10月25日は、世界パスタデーです。1995年のこの日、パスタの本場イタリアで「世界パスタ会議」を開いたことから始まった記念日です。

 乾燥パスタはさっと湯を通すだけで出来上がるので忙しいときに重宝しますし、ナポリタンやたらこパスタをはじめとする、日本発のパスタもおいしいですよね(*^^*)

 おなかがいっぱいになったら、今度はデザートのお話を。

 10月26日は「柿の日」。前回お誕生日をご紹介させていただいた、正岡子規さんが、滞在先の奈良で柿を食べながら、あの名句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」を思い浮かべたのが、1895年のこの日と言われてます。

 柿は果実の中でも特に栄養価が高く、渋みの元になっているタンニンには殺菌作用や薬用効果もあるそうですよ。

 また、実ばかりではなく、煎じたお茶や柿の葉寿司など、葉の方も人気ですよね。

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、甲原みかえさんのお話・その7です。

 みかえさんは、発音のなまりが原因で本来の英会話能力を封印していました。

 一時は英会話に拒否反応が出るほどだったと言いますが、最近は少しずつですが、ネーティブの英会話に抵抗がなくなってきたそうです。

 それは朗読倶楽部のおかげだというみかえさんに、部長さんと私はどういうつながりがあるのか分からず、思わず首をかしげてしまったのですが……。

 みかえさんは、もともと読書好きで、文章を書くことも好き。当初、入部するつもりの文芸部が廃部になっていたと知り、これを復活させようと奔走していました。

 それが部長さんの登場によって、現在の「朗読倶楽部」に姿を変えたわけですが……。よくよく考えてみると、部長さんの「長続きしない」という忠告があったとはいえ、復活させようとするほど思い入れのあった文芸部を、なぜあっさりあきらめたのでしょうか?

 みかえさんは、朗読という「声を使う活動」を部長さんに提案されたとき、発音に関するトラウマから逃避している自分をあらためて自覚したと言います。

 心の傷に背を向けるかどうかは本人の自由で、決して悪いことではないと思います。でも彼女は、その傷と向かい合う選択をしたのです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 宮沢賢治「オツベルと象」

 こんにちは、今回ご紹介するお話は、宮沢賢治さんの「オツベルと象」です。

 宮沢賢治さんの童話の特色のひとつに、独特の「擬音」「擬声」を使うことが挙げられます。

 代表的な例では以前ご紹介した「やまなし」の一文、「クラムボンはかぷかぷわらつたよ」の「かぷかぷ」が知られるところですが、このお話で登場する稲扱(いねこき)の機械が発する「のんのんのん」という音や、象の「グララアガア」という泣き声もご存じの方は多いと思います。

 たとえ内容を忘れてしまっても、独特のオノマトペは印象に残りやすいですよね。

 荘園主のオツベルさんは、大変なやり手と評判です。

 小屋と呼ぶにはあまりに大きな建物に新しい稲扱機械を六台も導入し、十六人もの農民を使って脱穀させています。その勢いは、頑丈なはずの建物が機械の地響きで震えてしまい、飛び散った塵であたり一面が黄色くなってしまうほどでした。

 そんなある日、この小屋に予想だにしないお客さんが来訪します。そのお客さんはなんと、白い大きな象。

 やり手のオツベルさんは象さんを言葉巧みに説得し、荘園でのいろいろな労働を手伝わせるようになりました。

 気のいい象さんは喜んでお手伝いをするのですが、その内容は日増しに過酷になっていき、反対に与えられる食事は日々減っていったのです……。

 このお話、学校教科書に広く採用されてご存じの方も多いと思いますが、ある年代を境に2点ほど変更されています。

 一つ目は、題名。

 以前は、「オッペルと象」あるいは「オッベルと象」とされていました。

 二つ目は、ある一文字について。

 この作品は牛飼いさんが、近所の子供と思われる聞き手に物語を聞かせる形式でお話が進みます。

 最後は「おそらく聞き手と思われる誰か」が川に入ろうとするのを、牛飼いさんが注意するところで締めくくられますが、この相手を呼ぶ時の一文字がよく分かっておらず、昔はこの一文字に相手を呼ぶ「君」という文字があてられていました。

 いずれも原稿が現存しないため正解は分からないのですが、いろいろ想像してみると楽しいですよね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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