朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第96回 ジョセフ・ジェイコブス「ジャックと豆の木」

「ジャックとまめの木 (偕成社 世界のどうわ)」著・ジョセフ・ジェイコブス、訳・本城和子(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「ジャックとまめの木 (偕成社 世界のどうわ)」著・ジョセフ・ジェイコブス、訳・本城和子(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第96回はジョセフ・ジェイコブスの「ジャックと豆の木」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 初めに一つ、ご報告を。

 2010年の12月3日からこのコラムを始めさせていただいて以来……なんと、満2周年を迎えることができました!

 今回で実に96回目……長いような短いような、夢中になっておしゃべりしているうちに回数を重ねてしまいました。

 おかしなところも多々あったかと思いますが、ここまで続けさせていただけたのはもちろん皆さんのおかげで、本当にありがとうございます!

 これからは目前の100回を超え、目指せ200回!……いえ、3周年!……いえ、120回くらい……?は続くようにがんばりますので、今後も「乙葉しおりの朗読倶楽部」をよろしくお願いいたします。(*^^*)

 さて、12月3日は、永井荷風(ながい・かふう)さんのお誕生日(1879年生まれ)です。1917年から40年以上をかけ、亡くなられる前日まで書かれた「断腸亭日乗(だんちょうていにちじょう)」は、ただの日記にとどまらず一の作品として高く評価されています。

 12月4日は、オーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケさんのお誕生日(1875年生まれ)です。

 「リルケ詩集」「ドゥイノの悲歌」などの詩集で日本でも有名ですが、「神さまの話」「マルテの手記」など小説家としても高い評価を得ています。

 12月8日は、児童文学作家の大石真さんのお誕生日(1925年生まれ)です。1965年に発表された「チョコレート戦争」は、それまでの児童文学の中心だった「訓話」よりも「読み手(子供)にとって楽しい作品」であることにこだわり、現在まで愛される作品となりました。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部部長・丙絵ゆいさんのお話・その4です。

 事情があってあまり家に来てほしくないけれど、他のみんなの家庭訪問を済ませた以上、自分だけ「無し」ということにはできない……という部長さんの主張により、部長さん宅の家庭訪問は決行されることになりました。

 部長さんのお家は、朗読倶楽部メンバーの中では一番学校に近い、市営住宅の中にあります。お出迎えしてくださったのは、部長さんのお母様。

 物腰が柔らかくて線の細い、元気な部長さんとは異なる印象を受ける方、というのが第一印象でした。先生は「絶対、肝っ玉かあちゃんが出てくると思っていたのに」と後でおっしゃっていましたが、その意外さよりも驚いたのは、帰宅してからの部長さんの態度。いつもの「みんなを強引に引っ張っていく元気さ」はおくびにも出さず……

 「ただいま帰りました」

 「顧問の先生と先輩方をお連れしました」

 ……と、まるで別人のようなのです。

 あまりのひょう変ぶりに、私たちが訪問のあいさつから二の句を継げずにいると、急に部長さんに袖を引っ張られました。部長さんのにらむような目は、「余計なことを言うな」と語っていて……私たちはそのまま押し黙ってしまったのです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 ジョセフ・ジェイコブス「ジャックと豆の木」

 こんにちは、今回ご紹介するお話はジョセフ・ジェイコブスさんの「ジャックと豆の木」です。

 民俗学者であり文芸評論家でもあったジョセフ・ジェイコブスさんは、1890年から亡くなられる1916年にかけて、世界各地の数々のおとぎ話の再話を行いました。

 この「ジャックと豆の木」もその中の一編で、イギリスの民話を再話した「イングランド民話集」に収録、1890年に発表されたものです。

 むかしむかしあるところに、ジャックとそのお母さんの2人が貧しく暮らしていました。一家の家計を助けていたのは一頭の牝牛が毎朝搾り出してくれるミルクでしたが、ある日そのミルクがぱったりと出なくなってしまいました。

 もう牝牛は年をとっていたのです。このままでは暮らしていけない親子2人は相談の結果、牝牛を売ることにしました。ジャックは牛を引いて市場へ行きましたが、道中ですれ違ったおじいさんの持っていた「不思議な魔法の豆」に心引かれ、牛と豆を取り換えてしまいます。

 得意になって帰宅したジャック。

 けれど、お母さんにとっては身を切る思いで売りに出した牝牛なのに、だまされて豆粒に変えられてしまったと知ったら我慢できるはずがありません。ジャックはこっぴどく怒られてしまい、せっかくの豆も窓の外に投げ捨てられてしまったのです。

 ところが翌朝のこと、庭に捨てられた豆は天を突くほどの大木に変貌を遂げていました。おじいさんの「魔法の豆」という言葉はうそではなかったのです。豆のつると葉で編まれたはしごを伝い、空の上まで登ったジャックの目前には、とても大きなお城のような家と、その家のサイズに見合った、とても大きな女の人がいたのです……。

 このお話、日本で翻訳された作品も基本は同じストーリーなのですが、少しだけ手が入っていることが多いようです。

 それは、このあらすじでは登場しないジャックのお父さんの話であったり、お話の中でジャックが3度続ける「あること」に関係があったりするのですが、果たしてそれは何なのでしょうか?

 ぜひ読んで、確かめてみてくださいね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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