注目映画紹介:「拝啓、愛しています」 4人の人生の最終章に恋愛や友情がどっと訪れる

「拝啓、愛しています」の一場面 (C)Next Entertainment World All rights reserved
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「拝啓、愛しています」の一場面 (C)Next Entertainment World All rights reserved

 人生の終盤に思いがけず出会った4人の老齢の男女の優しくほろ苦い愛を描いた韓国映画「拝啓、愛しています」(チュ・チャンミン監督)が22日に公開された。舞台化やドラマ化もされた韓国で人気のカン・プルさんのマンガが原作。ドラマ「イ・サン」の英祖役でおなじみのイ・スンジェさんが、頑固なおじいちゃんから恋をして柔和な表情になっていくさまを、心にしみる演技で見せる。13年2月に「王になった男」が公開されるチャンミン監督が手掛けた。

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 マンソク(イさん)は中古のバイクで牛乳配達をし、小遣い稼ぎをしている。ある朝、配達しているときに、坂道で転んだ女性(ユン・ソジョンさん)を助けた。マンソクは、リヤカーで古紙回収しているその女性・イップンのことが気になり、待ち伏せをするようになる。一方、駐車場の管理人として働くグンボン(ソン・ジェホさん)はイップンと知り合いだった。グンボンには認知症を患う妻(キム・スミさん)がいるのだが、ある日、グンボンが自宅のカギをかけ忘れてしまい、妻がふらふらと外出。グンボンとイップンは妻を探し回る。妻はマンソクに保護されていた。これをきっかけに、マンソクは意中の女性と急接近。しかし、女性には悲しい過去があった……という展開。

 怒りっぽいが人情味あふれる男性に引かれる女性。待ち伏せしたり、窓の下から彼女を呼んだり、バイクに2人乗りしたり……韓国の恋愛物語の方程式に老人をあてはめるとこんなふうになるのか……と楽しんで見ていると、老老介護や老人の孤独など、なかなかシビアな問題も物語の中に潜んでいる。妻に先立たれたマンソク。身寄りもなく字が読めない古紙回収のイップン。手塩にかけて育てた子どもたちに忘れ去られたグンボンと妻。そんな4人の人生の最終章に、恋愛や友情がどっと訪れるという奇跡。ときどき幻想的になる映像もはさまれ、やはりこれは夢物語なのか……と思わせる。いつもは厳格なおじいさんを演じることが多いイさんが、彼女の写真を見入ったり、彼女からのプレゼントの手袋に大喜びしたりと、可愛いおじいさんをノリよく演じている。22日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)、シネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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