三線(さんしん)の心地よい音から始まる映画「カラカラ」(クロード・ガニオン監督)が19日から全国で公開される。沖縄を舞台にカナダ人監督が描き出した大人のロードムービーだ。昨年のモントリオール世界映画祭で「世界に開かれた視点賞」と「観客賞」をダブル受賞した。タイトルの「カラカラ」とは空っぽになった泡盛の器のこと。空っぽな毎日に迷う2人の男女が偶然に出会い旅をする。沖縄サウンドをけん引する新良幸人さんの音楽が耳に心地良い。
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元大学教授のカナダ人ピエール(ガブリエル・アルカンさん)は、念願のアジアにやって来た。気功のワークショップを終えて残りの日程を、沖縄の島々をのんびり旅して過ごそうと思っていた。道に迷ったピエールは、純子(工藤夕貴さん)と明美(富田めぐみさん)の2人組に助けてもらう。後日、純子と再会したピエールは、1日観光案内をしてもらったことがきっかけで急接近。東京から移住してきたが、夫の暴力に悩まされていた純子は、家を飛び出しピエールと旅をしたいといい出す……という展開。
沖縄本島だけでなく、伊是名、伊平屋、具志川の島々も舞台となっている。風景が素晴らしいのはいうまでもないが、大自然のプリミティブな背景の中で大人の男女が包み込まれるように描かれていて、見ていて心地よい。語られる旅路には、さまざまな対比が浮かんで見える。国の違い、文化の違い、男女の違い……。人生の岐路に立ち、男性は1人になりたいのに、女性が誰かといたがるところが真に迫っていて生々しい。ピエールが工房に訪れるという設定で、芭蕉布(ばしょうふ)という織物や人間国宝・平良敏子さんも登場。こちらの物語だけでも映画になりそうだ。12日から沖縄シネマQで先行公開中。19日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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