宮藤官九郎:朝ドラ脚本に苦労「3回ぐらい飽きてます」 NHK「あまちゃん」を語る

NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で脚本を担当している宮藤官九郎さん
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NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で脚本を担当している宮藤官九郎さん

 宮藤官九郎さんが脚本を手がけるNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」が4月から放送をスタートする。岩手・北三陸の小さな田舎町を舞台に、北の海で海女さんを目指すヒロインが、挫折と奮闘の後に、地元アイドルになるというオリジナルの人情喜劇。宮城県出身の宮藤さんに、初挑戦となる“朝ドラ”脚本の苦労やドラマの見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ドラマは、北三陸の架空の田舎町が舞台。東京のスピードについていけず、引きこもりがちだった高校2年生のヒロイン・アキが、夏休みに母の故郷に連れられて行き、“北の海女”として海に潜る祖母の姿に衝撃を受け、海女を目指すことに。海に潜るようになったアキは、やがて「地元アイドル」として注目され、町おこしのシンボルとして駆り出される……というストーリー。主人公のアキを能年玲奈さんが演じるほか、小泉今日子さんや宮本信子さん、福士蒼汰さん、小池徹平さん、橋本愛さん、杉本哲太さん、吹越満さん、荒川良々さんらが出演する。

 ユーモアが持ち味の宮藤さんが歴史ある「連続テレビ小説」の脚本を引き受けた理由について、「やってみたいというのが一番大きかった」と語る。これまでの経験から築いてきた仕事のペースを「変えたかった」のも一つの理由といい、「自分が10代のとき、家族と一緒に見たという“朝ドラ”の感じは今も昔も変わらないものだと思う。長い歴史のある朝の時間、どれだけ自分が違和感なく溶け込めるかが、自分の中で挑戦」と力を込めた。

 それでも、「起きている時間は基本的に作品のことを考えている」と、全156回の長丁場に苦労を隠せない。他の連続ドラマとの違いに当初は戸惑ったといい、「昨日(番組を)見ていない人がいるかもというのは常に意識しています。実は、そういうのが苦手で、結構自分の資質にはないんですが」と明かす。執筆の大変さに、「3回ぐらい(執筆に)飽きてます(笑い)。今、また面白くなってきたところです。これ終わるとすごく強くなれそうな気がします」と笑顔を見せた。

 作品の舞台は、宮藤さんの故郷である東北だ。未曽有の被害が出た東日本大震災からこの春で2年を迎えた。同地が舞台になったことについて、「震災があったから東北でやろうと思ったわけでない。表現するのによかったのが東北だった」と話す。作品では震災についても描かれるが、「当初は、フィクションの中に“震災”を入れるのに抵抗があった。ただ、それを入れないのはうそだとも思った」と苦悩を明かし、「震災を描くことによって何かのメッセージを送るということでなく、それを含めて元気になってもらえるような楽しめる作品にしたい」と思いを語った。

 先日、第1週の試写を見たという宮藤さんは、その出来に「朝ドラっぽかった」と手応えを感じている。ドラマの見どころを聞くと、「俳優さんがみんな素晴らしい。そこが一番うれしい」と即答。宮藤官九郎作品初参加のキャストも多いが、「その人たちがすごくはまっている」と自信を見せる。中でも、お気に入りのキャラクターとして宮本さん、渡辺えりさん、美保純さん、片桐はいりさん、木野花さん演じる“北の海女”たちを挙げ、「取材現場で見てきた(本物の)海女さんたちがこんな感じで、再現できているのは皆さん上手だから」と5人を絶賛した。

 また、主人公のアキを演じる能年さんの印象について、「勝手なイメージですが、朝ドラのヒロインってけなげで頑張っている姿がほほ笑ましかったりするんですけど、意外と(能年さんは)それだけじゃなく、冷めている部分があったり、頑張っているのが暑苦しくない。それがいい」と高く評価し、「見たことないタイプの女優さん。そこが興味深い」とその存在感を絶賛していた。

 連続テレビ小説「あまちゃん」は4月1日から放送開始(NHK総合、毎週月~土曜午前8時ほか)。

 <プロフィル>

 くどう・かんくろう 70年生まれ、宮城県出身。91年から「大人計画」に参加。脚本家として、映画「GO」で第25回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。その後も、ドラマ「木更津キャッツアイ」「うぬぼれ刑事」や映画「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」など話題作を次々に世に送り出す。脚本家だけでなく、映画監督や俳優、ミュージシャンとしても活躍。NHKのドラマは「あまちゃん」が初めての執筆となる。最初にはまったポップカルチャーは「漫才ブーム」。

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