河西智美：AKB48卒業も「ファンに身近な存在であり続けたい」　海外ドラマの声優に初挑戦

　先日、人気アイドルグループ「AKB48」を卒業した河西智美さん（21）が、完全無料BSテレビ局「Dlife」で11日に放送される海外ドラマ「リベンジ　シーズン2」に日本語吹き替え版でゲスト声優として出演する。今作が海外ドラマの声優初挑戦となる河西さんに、アフレコの舞台裏や作品の見どころ、さらにAKB48の思い出と今後について聞いた。（毎日新聞デジタル）

ウナギノボリ

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　◇母親がハマッていた作品に出られて「うれしい！」

　「リベンジ」は、ニューヨーク郊外の高級住宅地ハンプトンを舞台に、謎めいた主人公・エミリーが、殺害された父のかたきを討つため、美貌や知力、財力を駆使してターゲットを次々に抹殺していく復讐（ふくしゅう）ドラマ。河西さんは、エミリーが復讐のターゲットとする女性、ビクトリアの少女時代の声を吹き替える。声の出演をする第8話「起源」は、ビクトリアの少女時代の禁断の過去が暴かれ、物語のターニングポイントともなる重要なエピソードが描かれる。

　同ドラマについて河西さんは、母親が以前からハマッていた作品であり、声優として起用されたことを「すごくうれしかったです」と喜ぶ。そして、作品の魅力を「ストーリーももちろん面白いんですが、出てくる衣装もすごくきれいで、髪形もすごく可愛い。私はそういうところが個人的に見ていて楽しかったです」とファッションに敏感な20代女性らしい視点で語った。取材当日は、役柄の少女時代を意識したという“レトロアメリカン”なファッションで登場した。

　一方、自身が演じたビクトリアについては、幼いころの母親との確執がその後に暗い影を落とす役どころに触れ、「私はお母さんが大好きなので、彼女との共通点はないんです。もし私が同じ立場だったら、私にはお姉ちゃんがいるので相談できたと思うんですが、彼女にもそういう存在がいたらよかったのかな……」と思いを寄せ、出演シーンについて「彼女にも小さいころのつらいエピソードがあって。そんな過去から、ビクトリアをちょっと理解してもらえるような場面だと思います」と振り返る。

　◇初の海外ドラマ声優に戸惑いも

　これまでアニメでは何度か、声優を担当した河西さんだが、海外ドラマでの声の出演は今回が初めて。AKB48のメンバー・大島優子さんが吹き替えを担当した米劇場版アニメ「メリダとおそろしの森」も参考にしつつ、「もともと好きだった海外ドラマを、改めて吹き替え版で見て、口の動きに合わせる演技や息遣いを学びました」とイメージトレーニングをしてアフレコに臨んだことを明かす。

　しかし、実際のアフレコ現場では難しい場面にも直面し、「字幕版で見たときは、幼少時代のビクトリアを演じた女優さんがポソポソッと話していた印象だったので、そういう感じでやってみたんですが、スタッフの方から『もっと声を張って』と言われて。今まで海外ドラマを見ていたときは意識していなかったんですが、こんなにオーバーにやって、やっと伝わるんだっていうことに焦りましたね」と戸惑いを感じたという。

　また、「実際に演じている役者さんが、話した後にすぐ口を閉じるクセがあるんですが、『しゃべった後にすぐ口を閉じて』ってアドバイスされて。『あ、そういうところも見なきゃいけないんだ』と、すごく勉強になりました」と貴重な経験になったようだ。

　◇AKB48の仲間とは「すごく深いところでつながってる」

　そんな河西さんは、約7年間在籍したAKB48を3日に卒業したばかり。14歳から過ごした日々を「学生時代は全部AKBだったので、本当、青春時代というか。私の周りでは結婚して子供がいる友達がいて、そういう点では後れをとっているんだと思いますが、別の部分で視野が広がったっていうのはあります。メンバーとの思い出もいっぱいありすぎて……。同じ時間をたくさん共有してきたので、兄弟、家族よりも強い絆があるというか。家族にも言えないようなことを話してたり、ただの友達でもないし、なんかすごく深いところでつながってる気がしますね」と振り返る。

　そして、昨年12月に卒業を発表したときのことを「みんなに知らせていなかったので、一番仲がよかったともちん（板野友美さん）は『なんで言ってくれなかったの？』ってスネてましたね（笑い）。でも、その後、一緒にご飯に行く機会があったときにいろいろ話して。それから、他のメンバーが私が卒業することを『寂しい』って泣いてくれて。そう思ってくれる人たちがいることがうれしかったし、私の今後についても理解して『頑張ってね』って言ってくれることもうれしかった」と笑顔で明かす。

　卒業後のこれからについては「ずっとミュージカルをやりたいという思いがあったので、タイミングが合えばぜひやりたい。私の好きな歌も歌えるし、演技やダンスの勉強にもなると思うから。すごく私の理想なんです」と新たなステージに胸をふくらませつつ、「AKBのファンの方との思い出もたくさんありますし、その絆も大切に。卒業したら、『突然変わっちゃった』じゃなくて、これまで通りファンの方にとって身近な存在でありながら、新しい部分も見せていけたら……」と今後について語っていた。

　河西さんが声優として出演する「リベンジ シーズン2」の第8話は、完全無料BSテレビ局「Dlife」で11日午後10時に放送。

　＜プロフィル＞

　1991年11月16日生まれ、東京都出身。2006年にAKB48に加入。12年に「まさか」でソロデビュー後、13年5月3日に同グループを卒業した。現在、深夜ドラマ「めしばな刑事タチバナ」（テレビ東京、毎週水曜午後11時58分）に出演中で、8日に発売された2枚目のソロシングル「Mine」は同ドラマのエンディングテーマに採用されている。