「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミさんが「L.A.タイムズ」が報じた驚がくの実話に心動かされて製作した「ポゼッション」が公開中だ。悪霊がすむ木箱によって別人のように変わっていく少女。父親が悪魔をはらうために奔走する父娘の物語として描かれている。美少女役ナターシャ・カリスさんの変貌ぶりが見ものだ。
ウナギノボリ
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クライド(ジェフリー・ディーン・モーガンさん)は妻ステファニー(キーラ・セジウィックさん)と離婚し、住宅街のはずれで一人暮らし。週末ごとに、2人の娘ハンナ(マディソン・ダベンポートさん)とエミリー(ナターシャ・カリスさん)と過ごしていた。ある日、父と娘で立ち寄ったガレージセールで、エミリーがアンティークの木箱を購入。エミリーが箱を開けると、古い指輪と木彫りの動物と虫の死骸、そして不気味な歯が入っていた。箱を購入して以来、不思議なことが起こり始める。エミリーがふさぎがちになり、急に凶暴になった。エミリーは箱を友だちだと言い、学校にまで持っていくようになる。母親のステファニーは離婚の影響だと考えたが、クライドは危機感を覚えて調査を始める……という展開。
憑依(ひょうい)は美少女に限る……と悪魔は思うものなのだろうか。原因となった「ユダヤの民話に伝わる邪悪な魂を閉じ込めた箱」は、実際オークションで出品されて話題となったものらしい。この箱から古典的なホラーを新たに作る着想を得たのがサム・ライミさんだ。実際の悪魔ばらいから着想を得た「エクソシスト」を思い出すが、今作では離婚した父親が娘とどう向き合うのかという現代的なテーマが流れている。「ウォッチメン」(09年)などで知られるモーガンさんが父親役で好演。悪霊につかれたエミリー役のナターシャさんは思い切った演技で魅了するほか、なんとかしてあげたくなる幼さが可愛い。悪魔の映像化については好き嫌いが分かれそうだ。25日からシネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。
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