人間を凶暴化させる未知のウイルスによるパニック映画「ワールド・ウォーZ」(マーク・フォースター監督)が10日、公開される。主演のブラッド・ピットさんがプロデューサーも兼任し、たくましい父親役を演じている。マックス・ブルックスさんによる同名小説が原作で、「007/慰めの報酬」のフォースターがメガホンをとった。
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米フィラデルフィアの朝。元国連捜査官ジェリー(ピットさん)は、いつものように車に妻と2人の娘を乗せて家を出た。道は混雑し、暴走する車に驚く一家。凶暴化した者が人々を襲って街はパニックになっていた。世界中で流行している謎のウイルスによる感染者“Z”たちが現れたのだ。Zにかまれた者は、正気を失って非感染者に襲いかかる。必死に逃げるジェリーの元に、国連事務次長ティエリー(ファナ・モコエナさん)から電話が入る。一家は空母に避難することができたが、命令を受けたジェリーは家族を置いて、ウイルス学者とともに情報収集のために輸送機で飛び立つ。ジェリーは大混乱を収めることができるのか……という展開。
臨場感のある映像で、たたみかけるようにパニックにつぐパニックが映し出されるスピーディーな前半は、グラスゴー市街地で撮影されたというカークラッシュなど迫力満点だ。後半は女性兵士も登場して、闘う勇気を奮い立たせる主人公の姿をじっくりと映し出す。ブラピが演じるジェリーも必死だが、Zたちも必死の形相で、映画の中の混乱は、不安定な現代を象徴しているかのようだ。「家族を守りたい」という父親の信念がジェリーをつき動かしている。腕力も強いジェリーだが、混乱の中で状況を冷静に把握しながら進んでいく勇気と、強い心に見ていてしびれる。生き延びる力がしっかりと描かれていて、心が弱っている人にぜひ見てほしい1作。10日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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