DaiGo:初のビジネス書を出版 引退宣言の真相語る

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 メンタリストのDaiGoさんの初のビジネス書「一瞬でYESを引き出す 心理戦略。」(ダイヤモンド社)が発売中だ。今作は、“パフォーマー引退”を表明したDaiGoさんによるビジネス書で、ビジネスの現場で使えるさまざまなメンタリズムテクニックを公開している。現在、コンサルや企業研修などの活動も行っているDaiGoさんに、本書に関することだけではなく、世間をにぎわせた“引退宣言”や“転職宣言”の真相などを聞いた。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−今回の書籍を執筆することになった経緯を教えてください。

 僕がドキュメンタリーに出演したときに、これからリブランディングしてパフォーマンスだけではなくビジネス方向にも進んでいくという話をしました。そういったときに執筆依頼があり、タイミングが合いました。

 −−ご自身で考えられたタイトルには、どのような意図があるのでしょうか。

 メンタリズムは心理学ではなく、あらゆる方法を使って人の心をつかみ、いかに動かすかをテーマにしているジャンルです。当初、学生のころに始めたときはお金もないし、コネもなく事務所もなかった人間が、どうやって個人でメディアに出ることができたのか。目の前の人の心をつかんでつなげていけば、個人がメディアを動かすことすらできるという、その方法を紹介したい。どういう名前を付けようかと思ったとき、すごく“心理的”でもあるし“戦略的”でもあるから、合わせて“心理戦略”に決めました。

 −−見た目のインパクトもありますね。句点は特にこだわりがあったのでしょうか?

 メールで「タイトルは何にしましょうか」と来ていたときに、たまたま句点を押しちゃったんです(笑い)。そうしたらテレビにそのまま句点が付いたまま出て、付けとかなくちゃと思いました。上がってきたものにも付いていたからいいかなみたいな“偶然の産物”的な感じです。

 −−帯が2パターンあるとお聞きしましたが……。

 帯を2パターン作って実験してみようと思いました。「A/Bスプリット広告」という手法で、本来はどちらがより効果があるかを測るための方法として使われる。ですから増刷分からは、売り上げがよかった、反応がよかったほうに決まります。アピールの仕方が2種類変わっていて、どちらを選ぶかでその人の考え方やどういうものに響きやすいかといった心理分析がある程度できます。数字押しを選べば論理型、「喜んで」とか感想や吹き出しが描いてあるほうなら感情型といえます。

 −−DaiGoさんはどちらが?

 僕は論理型なので数字押しを作り、もう一つは意見は出しましたが(版元の)ダイヤモンド社さんに作ってもらいました。両方とも“おまけ”として本の帯をひっくり返したところに動画のコードが付いています。そこには本の中で公開していないテクニックなどを教えるセミナーみたいなのが入っています。ほかにも新聞広告や電車のステッカー広告にも動画にコードを付けました。人間のコミュニケーションや仕事、ストレスマネジメントなどで使えるような動画を無料で公開しています。動画や特設ページは全部僕の手作りです。

 −−各項目に「メンタリズムポイント」というものがありますが、DaiGoさんのアイデアですか?

 明確な目的を持って本を読んだ場合、書籍の中に必要な情報は7~11%ぐらい。ポイントになる情報をちりばめておいて、忙しい人はそれを見るだけでも内容がだいたい把握できるようなものを作りたかった。どこを読んだらいいか分からないのが一番よくない。僕自身が分かりやすくしたいので付けました。

 −−ところで、ブログなどから火が付いた“引退騒動”についてお聞きしたいのですが……。

 あれは狙いです(笑い)。パフォーマーとして何年もつかを調べたら、不思議系のパフォーマンスは3年もてば結構いいほうで、それが終わると営業が増えて日本中をぐるぐる回らなくちゃいけない。どうしようかと思ったら、ビジネスでの知識提供というのが重要だと思い始めました。

 −−そこが転機だったのですね。

 どのタイミングで変えるのかといったら、やはり上がっているとき。“引退宣言”が何で大事かというと、上がっているときに「やめます」といえばみんなが「なんで?」と聞くので、そこで自分のやりたいことが言える。だからあえて上がっているときに言いました。

 −−なるほど用意周到ですね。ではその後の“転職宣言”は?

 “転職宣言”は、一つのコピーライティング。タレントは引退、卒業は使いますが、転職は使わない。だからこれは当たると思いました。当時、その3日後にドキュメンタリー番組の放送があったのですが、サブタイトルが「DaiGo転職活動中」でした。勝手にテレビ局の人が付けていて、そのまま放送されたらまずいと思いブログであえて告知した後、タネ明かしをしました。

 −−そういうことでしたか。ではメンタリズムの考えを広めていく意図は?

 不思議なものを見せるだけではなく、それには根拠があり、その不思議を体験した状態でそれを日常生活に生かせる知識というのが、他のジャンルにないものだと思いました。だからシェアしていこうと。なるべく多くの人に価値を分かってもらい、使えるようになって、(規模が)大きすぎますけど、日本人のコミュニケーションのレベルが上がったら本望ですね。

 −−本を読むことが好きだということですが、書くほうはどうでしたか?

 書くのは苦手でした。書いてもなんか理屈っぽくなってしまう。克服するためにコピーライティングの本やライティング系の本を読みあさると、今度はコピーライティングっぽく……。だから小説とか読んだほうがいいかなと思い、森鴎外全集を注文して読みましたが、さすがにちょっと違う気がしました(笑い)。

 −−苦手というのは意外ですね。今回の書籍は特にどういった人に読んでほしいですか。

 いろいろな人が読めると思いますが、特に誰かの心を動かしたいと思っている人には、すごく読んでもらいたい。人間は目に見えないものにすごく動かされます。これを学ぶことで見えない武器を手に入れられる。大きな会社じゃないとあきらめたり、自分は人を引きつける力がないと思っている人たちは、大きく周りからの評価が変わると思うのでぜひ読んでもらいたいと思います。あとは僕と同世代の人たちにも読んでもらいたい。目の前の人の心をつかんでいくことでどれほど(自分が)強力になるかは、メンタリスト・DaiGoというキャラクターが体験しているので、そういうところを学んでもらえればと思います。

 −−最後に今後の抱負をお願いします。

 知識提供はずっとしていきたいと思っています。メンタリスト・DaiGoはパフォーマーであることを捨て、タレントであることを捨て、最後はメンタリスト・DaiGoという名前も捨てたら、このキャラクターは完成すると思います。知識だけがその場に残れば、それで完成です。

 <DaiGoさんのプロフィル>

 人の心を読み、操る技術”メンタリズム”を駆使する日本唯一のメンタリスト。テレビ番組へ出演多数、著書は累計55万部突破のベストセラーに。外資系企業の研修や、コンサルティング、教育誌の連載なども手掛ける。主な著書は「人の心を自由に操る技術」(扶桑社)、「DaiGoメンタリズム 誰とでも心を通わせることができる7つの法則」(ワニブックス)など。

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