リン・チーリン:「101回目のプロポーズ~SAY YES~」に主演 「真心からの愛が一番大切」

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 1991年に武田鉄矢さん、浅野温子さんが共演し大ヒットした日本のドラマ「101回目のプロポーズ」を中国でリメークした映画「101回目のプロポーズ~SAY YES~」(レスト・チェン監督)が19日から全国で公開された。99回、見合い相手に断られ続けた冴えない中年男と、美しいチェロ奏者の恋の行方を描いた純愛ラブストーリーだ。ヒロイン役は、台湾出身の女優リン・チーリンさん。オリジナルの日本版ドラマは高校時代に見ており、それ以来作品のファンで、今回のオファーが来たときには「すぐにOKと返事をした」と語るチーリンさんが、作品のことや、今回特別出演している武田さんのこと、さらに自身の恋愛観や結婚観などを語った。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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 チーリンさんが取材場所に現われた途端、それまで殺風景だった部屋の雰囲気が急に華やいだ。清楚(せいそ)で凜(りん)としていて、それでいて人懐っこい雰囲気がある。作品に対する好意的な感想を告げると、日本語で「うれしいです」「ありがとうございます」と本当にうれしそうに言葉を返す。

 チーリンさんが演じたのは、美しいチェリストのイエ・シュン。日本版では浅野さんが演じていた矢吹薫だ。高校時代、日本版をテレビで見たという。「愛に対する価値観や勇気を持って立ち向かうこと、何か障害があってもそれを克服すること、そして信念を持つということ、それらは(日本版の)薫から学んだことの一つです」とオリジナル版が自身にもたらした影響を明かす。

 チェリストという設定のためチェロの練習もかなりした。「1カ月半、練習しました。もともとピアノはやっていましたがチェロは初めて。チェロという楽器の音は、人が会話をしてるように聴こえて、弾くととても安らかな気持ちになるんです。とはいえ、始めた当初は“グワッグワッ”とあまりいい音を出せなくて、朝起きても練習、夜寝る前も練習で、周囲の方々には非常にご迷惑をおかけしました……」と恐縮する。弾けるようになった今では「チェロがとても好きになりました」とにこやかにほほ笑む。

 映画の中でシュンは、ホアン・ボーさん演じる相手役のホアン・ダーから、さまざまな方法でいくつかの愛の告白を受ける。その中には、日本版で武田さんが「僕は死にません!」と命懸けで叫び、名場面となったくだりもある。この、ダーからの決死の告白に、日本語で「困りますよね」と笑顔を見せつつ、個人的にはダーがシュンのために“あるもの”を作るという行為に感動したと話す。「相手の女性のライフスタイルの中に入り込んで、彼女が本当に必要なものは何なのかと考えるキメ細やかな純真(な気持ち)に感動した」のだという。

 インタビュー中、自身の結婚観にも触れた。「私もシュンと同じで、(結婚相手を選ぶ条件は)特にありません。欲しいのは純愛です(笑い)。学生時代は、もちろん白馬の王子様のような人を夢見ていました。でも、大人になるとともに自分が条件と思うもの、例えば収入でも、外見でも、それらは変わることを学びました。私だって年をとるわけですし、そういうことは愛情の条件にはならないと思います。ですから、ピュアな、真心からの愛こそが一番大切なものだと思います」と胸の内を明かす。さらに「2人が深く愛し合って、相手の方が私に真心から『愛している』と言ってくれることが重要なのであって、その一言があれば満ち足りた気持ちになります。映画の中に出てくるボルトの指輪、ああいったものでも構いません」と理想とするプロポーズのシチュエーションについても語った。

 ダーはこれまで何度見合い相手に断られようと、結婚相手を求めて見合いを続けてきた。その数99回。その努力、忍耐力は相当なものだ。あきらめないことの大切さも、今作のテーマの一つだ。そこでチーリンさん自身があきらめずやり続けていることを聞くと、「私は、今ある命への情熱を絶対あきらめないことだと思っています。今、こういう世界にいて、たくさんのことから影響を受けています。その中では何かにぶつかることもありますが、そういうことも含めて、すべては神様が私に授けてくださったことだと思っています」と真摯(しんし)に答える。ちなみに、あきらめない男性は好きかとたずねると、にっこりと笑い、「はい」と力強くうなずいた。

 今作には、武田さんとの共演シーンもある。撮影当日は、「まさか(星野達郎役の)ご本人が隣にいるなんて信じられない」と相手役のホアンさんともども興奮したという。また、武田さんがアイデアを出したというスカーフを使って愛について語る場面について「あの場面は本当にリアルなことのように感じて印象的なシーンでした」と振り返った。

 チーリンさんは「笑顔を絶やさない」ことを心掛けているという。「笑顔は笑顔の中でこそ生まれてくると思う」からだ。だから毎朝、「常に口元に笑顔を絶やさないようにと思いながら起きている」のだそうだ。

 片言の日本語がなんとも愛らしい。過去に木村拓哉さん主演の月9ドラマ「月の恋人~Moon Lovers~」に出演したこともあり、ある程度の日本語は理解できるそうだ。そのため今回のインタビューでも「少しでも日本のみなさんと気持ちを共有したい」ということで、自分が話せる範囲で日本語で答えてくれた。そのチーリンさんが最後に「日本語で言わせていただきます」と断った上でゆっくりと話し始めた。「この作品は日本で大ヒットしたドラマ『101回目のプロポーズ』を映画化したものです。22年前の感動を、上海のきれいな景色の中で描いたすてきな純愛ストーリーになっています。愛の力を信じればどんな困難でも克服できるというメッセージが込められています。日本のみなさんと青春の記憶を共有することができて本当にうれしいです。日本のみなさんにも気に入っていただけたらと思います」と日本語でメッセージを送った。映画は19日から全国で公開中。

 <プロフィル>

 1974年生まれ、台湾出身。10代からモデルとして活躍。ジョン・ウー監督の映画「レッド・クリフ」(2008~09年)のヒロイン小喬役に抜てきされスクリーンデビュー。10年にはフジテレビ月9ドラマ「月の恋人~Moon Lovers~」に出演し、SMAPの木村拓哉さんと共演した。主演作に今作のレスト・チェン監督作「ラブ・オン・クレジット」(11年・未公開)がある。

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