ラノベ質問状:「人生」 女性に説教されながら企画立案 お笑いとラノベの融合

川岸殴魚さん作、ななせめるちさんイラストの「人生 第6章」(ガガガ文庫)
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川岸殴魚さん作、ななせめるちさんイラストの「人生 第6章」(ガガガ文庫)

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は「人生」(川岸殴魚さん作、ななせめるちさんイラスト)です。小学館のガガガ文庫編集部の具志堅勲さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 理系、文系、体育会系の3人のヒロインが、皆さんの人生相談に答えます。三者三様の回答に、結論が出たり出なかったり……。日常系人生相談ラノベ。“人生相談”“文理の思考ギャップ”“お笑い”“LOVE”を融合させたら、こんな作品ができました。4巻からは、美術系のヒロインも登場してさらにパワーアップ! 頭のネジをゆるめて、純粋に楽しんでほしい作品です! タイトルでたまに間違えられますが、哲学書や思想書、啓蒙(けいもう)書ではありません!

 −−作品が生まれたきっかけは?

 川岸先生のデビュー作「邪神大沼」シリーズは、一部の読者、一部の業界関係者、一部の編集長に熱烈に支持されたものの、ブレークには至りませんでした。ライトノベルで“お笑い”を武器にするのは難しいと再認識する一方で、これならばいけるかも?というギミックを持っていた企画が「人生」です。

 「人生」というタイトルは、最初の企画書から変えていません。時代と寝るには、このくらいのインパクトが必要だと考えました。川岸先生は、先輩作家に連れて行かれた、女性がお酒を注ぎ、もてなしてくれるお店で、なぜか女性に説教をされながら、この企画を思いついたそうです。

 このほかにも、ライトノベル的な企画をいくつか受け取りましたが、すべて却下しました。ごめんなさい、だって殴魚だもの。

 −−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?

 川岸殴魚先生は、第3回小学館ライトノベル大賞で審査員特別賞を受賞し、「やむなく覚醒!! 邪神大沼」でデビューした、ガガガ文庫生え抜きの作家さんです。受賞作の8割書き直しにも笑顔で応じ、すべて新ネタで返してくるあたり、ただものではありません。研究にも余念がなく、売れていないラブコメを読んではほくそ笑み、売れている作品のコメディー部分は罵倒していました。死亡フラグですね。そろそろ先輩風を吹かせたいようですが、作風的に無理そうです。

 この作品は、登場人物が部室にいることが多く、絵にすると割と地味になってしまうので、キャラの微妙な表情や仕草をきっちり表現できるかたにお願いしたいと考えました。また、立っているだけで、キャラの魅力を伝えられる絵力も必要で……。必然的に、ななせめるち先生にお願いすることになりました。pixivの四コマが個人的にツボでファンだったから……というのは、ここだけの話です。その声の可愛いらしさは、ガガガチャンネル(http://ch.nicovideo.jp/gagaga)でご確認ください。

 −−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

 川岸殴魚先生は、(お笑いコンビの)THE GEESE、渡航先生、田中ロミオ先生、犬村小六先生など、そうそうたる面々がべた褒めの才能の持ち主なのですが、その“お笑いの才能”があまりライトノベルには向いておらず、融合させる方法に試行錯誤しました。

 また、私が笑えないネタはすべてボツになってしまうので、川岸先生は修正作業が大変だったと思います。ひとごとです。そんなイライラの作業が続く中、ななせ先生のイラストが上がってくると、川岸先生と二人で、ほっこりしました。興奮もしました。

 −−今後の展開は?

 2013年11月19日発売の「人生 第6章」では“アニメ化企画進行中!”の一報を打たせていただきました。小社刊「サンデーGX」でのコミカライズも決定しまして、現在鋭意メディアミックス準備中です!!

 続報は、ガガガ文庫公式サイト「GAGAGAWIRE」や、文庫折り込みのチラシ「ガ報」などで発表していきますので、チェックをよろしくお願いします!

 また、ツイッター(@ougyo_kawagishi)やメールでの相談も、期間限定で受け付けていますので“我こそは迷いの王である!”という皆さん! ぜひ投稿してみてください!

 −−最後に読者へ一言お願いします。

 川岸先生がツイッターでスベっているときは、そっとスルーしてあげてください。「人生」では、スベっていないネタがご覧になれます。

 小学館 ガガガ文庫編集部 具志堅勲

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