俳優の玉木宏さん(33)が主演するNHKの正月時代劇「桜ほうさら」が2014年元日に放送される。玉木さんは剣の腕はないものの、芯が強くまっすぐな心根を持つ若侍の主人公・古橋笙之介を演じる。1998年に俳優デビューしてから15年。「たくさんの経験を積んで自分の中の引き出しを作りたい」と話す玉木さんに、作品の魅力や俳優としての思いなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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ドラマは宮部みゆきさんの同名小説が原作。お人よしで、剣は苦手な笙之介(玉木さん)が、身に覚えのない罪を着せられ切腹した父の汚名をすすぐために江戸中を奔走する姿を描く。貫地谷しほりさん、風間杜夫さん、萬田久子さん、市毛良枝さん、北大路欣也さんらも出演する。
玉木さんは「実際に演じてみると、静の中に動がある作品だと思いました。笙之介の純粋さを通して、生きていく上で大切なものは何かと気付かされる。笙之介の純朴さで周りが変わっていく様がこの作品のすてきなところですね」と作品の魅力を語る。
笙之介と玉木さん自身の共通点について「笙之介のひねくれていないところはまねできない」と笑うが、役を演じるときは自分と似ているところを探すというよりも「演じる役のイメージを作っていく」という。「台本を読んでいると(演じる)人物が見えてくる。そこで勉強をしたり、下調べしてイメージする役に肉付けして、僕自身が近づいていく。(演じようとする人物と)似ているところを探そうとしてしまうと、自分の引き出しのなさを痛感してしまうことが分かっているので。イメージ像を作ってそこに近づいていった方が、自分にないものがプラスされるんじゃないかなと思う」と役作りについて持論を語る。
取材中、玉木さんの口から「引き出し」という言葉が何度も飛び出した。来年34歳になるという玉木さんは「今はたくさんの経験をしなきゃいけない時期で、たくさんの引き出しを作ろうと思っている。その経験が糧になると思うから」と力を込める。同作でも六角精児さんや北大路さんなどそうそうたる俳優と共演しているが、「仕事でご一緒する先輩方を見ていると、たくさんの経験をされていて話を聞いていて面白い。先輩方と同じような世代になったときに後輩からそのように思われる先輩にもなりたい」という憧れを口にする。その一方で、「同世代と差をつけたいという思いもあります」と明かす。「自分の中でのライバル心がなければと思う。(演技が)上手な人やいい作品を見ると悔しさが出てくるので、それを原動力にしていきたい」と目を輝かせた。
2013年は「たくさん仕事をしてほとんど日本にいなかった」というほど多忙を極めた一年だったという。「落ち着かない気持ちもあるけれど、それほどたくさんの仕事に触れた一年だったなと思います」と振り返る。映画の撮影で訪れたバリ島では時間の合間を縫ってダイビングのライセンスを取得したと言い、「僕らの仕事は持っている資格とか趣味がどう仕事につながっていくか分からない職種。できる限りいろいろなものに触れることによって、自分の引き出しが多くなっていく。来年は何に興味を持つか分からないですが、それ(興味を持ったもの)に取り組む余力を残しておきたいと思います」と前向きに語った。
「桜ほうさら」はNHK総合で14年1月1日午後7時20分~8時48分に放送。
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