河野マリナ:アニソン歌手が初アルバムを発表 多くの人との出会いで「優しい世界に触れた」

アルバム「First Touch」について語った河野マリナさん
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アルバム「First Touch」について語った河野マリナさん

 テレビアニメ「<物語シリーズ>セカンドシーズン」のエンディングテーマ「その声を覚えてる」などで知られるアニソン歌手の河野マリナさんが、ファーストアルバム「First Touch」を11日にリリースした。2010年の第4回全日本アニソングランプリ(アニマックス主催)で応募総数1万組の中で優勝し、2011年4月からのテレビアニメ「Aチャンネル」オープニングテーマ「Morning Arch」で歌手デビューした河野さん。これまで活動してきた2年半についてやアルバムについて、そして今後の展望を聞いた。(榑林史章/毎日新聞デジタル)

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 −−ついにアルバム「First Touch」がリリースされました。デビューから2年半かかったということで、足踏みしているような気持ち、焦りはなかったですか?

 確かにCDのリリースなど、分かりやすい活動ではありませんでしたが、ニコニコ生放送で「おねがい・マリナちゃん」という番組をやったり、そのときどきで向かい合うべき課題があったので、そこまで焦りは感じていませんでした。ただ、CDというのは、河野マリナという存在がちゃんと前に進めて初めて出せるものだと思っていたので、その部分では、まだそれに見合う自分になれていないのだと、もどかしく感じるときもありました。でも、スタッフのみなさんの気持ちの矢印が、ちゃんと自分を向いてくれているといつも感じていたので、あとは自分が返すだけだという気持ちで、やるべきことに集中するようにしていました。

 −−この2年半で、自分の中でいちばん大きかったと思う出来事はなんでしたか?

 2013年5月に行った初ワンマンライブですね。それまでは、自分は本当に誰かの特別な人になれるのだろうか?と、どこかで信じていない部分があって。それが、ライブでお客さんの存在をすごく身近に感じて意識が変わりました。信じる気持ちがふくらんだし、河野マリナはちゃんとここにいる!という実感がわきました。

 −−そうした経緯があって生まれたアルバムですが、タイトルの「First Touch」にはどういう気持ちを込めましたか?

 今まで私が触れてきた世界も収録していますし、このアルバムを通して新しい世界にも触れるという意味を込めています。そのタッチ感も思い切りバチンじゃなくて、おそるおそるだけれど勇気を出して踏み出していくようなニュアンスですね。それにタッチって、相手や対象がいて初めてできるものだから、決して一人じゃないという気持ちも込めています。

 −−アルバム収録曲の前半は、みんなが知っているアニメ主題歌のシングル曲と人気の高いCD未収録曲で攻めていて、そこから、アルバムで発表する新曲に入っていくという流れですね。

 はい。最初は河野マリナがやってきたことをバーンと強気で示したいと思って、「その声を覚えてる」や「消えるdaydream」など、タイアップ曲がずらりと並んでいます。5曲目以降は、視点がグッと未来に向かうイメージになっていますね。

 −−アルバムの新曲も多彩ですね。

 「MAGIC OF MUSIC」は、河野マリナはこういう気持ちで歌っていますっていう、名刺代わりのような曲です。また、「Do!! Do!! Let me Fun♪」は、“おさんぽマリナちゃん”がテーマです(笑い)。メロディーも愉快に動くので、歌っていてとても楽しいですし、個性的な曲なのでアルバムのアクセントになっていますね。

 −−河野さんご自身から歌詞のアイデアを出された曲もあるそうですが。

 「Cheer for me!!」ですね。私は高校生のときにチアリーダーをやっていたという背景もあって、応援歌になっています。私はこの2年半、ひざを抱えるときもあれば自分を許せないときもあって、そんな私に未来の私が“大丈夫だから”って語りかけているイメージ。アルバムにはこうした私の物語がたくさん込められていますが、聴いてくれる方の物語と重ねて、自分へのエールとして聴いてもらえたらうれしいです。

 −−そしてラストを飾るのは「この優しい世界のなか」という曲ですね。

 私はずっとひとりよがりで、何でも自分一人でやろうとして壁にぶつかっていました。でもワンマンライブやこのアルバム制作を通して、たくさんの方と出会って支えていただき、愛情を注いでもらって……。すごく優しい世界に触れることができました。私が感じた温かさを、みなさんにも感じてもらえる曲になったと思います。私はこれからも、もっともっと人間味のある音楽、存在をそばに感じられるような体温のある歌をやっていきたい。そういう意味でこの曲は、“河野マリナセカンドシーズン”のオープニングテーマです(笑い)!

 −−話は変わりますが、アルバムの初回盤にはコスプレ写真のカレンダーが付いていて、開くといきなり小学生になっていますね。

 ニコ生の番組のコーナーで撮りだめていたもので、個人的には巫女(みこ)さんがお気に入りですが、評判がいいのは小学生と女性教師です(笑い)。コスプレと歌は無関係と思うかもしれませんけど、私は歌うとき、その曲の世界に着替えるみたいなイメージを持っているんです。ようは、軸は自分自身だということ。逆にこうしてコスプレすることで、表現の勉強にもなりましたし。ちょっとけしからん感じの写真もいっぱいありますが(笑い)、楽しんでいただけたらうれしいです。

 −−そして2014年は、1、2月に大阪と東京でワンマンライブがありますね。

 東京は2度目ですが、大阪は初めてなので、すごく楽しみにしています。前はライブっていうと不安が大きかったのですが、今回は楽しみな気持ちしかありません! どんなライブになるのか、どんな景色が見えるのか、すごく待ち遠しいです!

 −−夏に河野さんの企画で「Ani−plugged」というイベントを開催していましたが、これも継続する予定ですか。

 もちろんです! そもそもアニソンには完成された美しさがあってそれもすごく好きなのですが、一度全部はがして生の人間らしい音で再構築したら、もっともっと体温のある音楽として届けられるんじゃないかと思ったのがきっかけで……。曲が本来伝えたかったことなど、改めて分かったこともたくさんあったので、私にとっては大事なイベントです。実は先日、国立代々木競技場第1体育館で開催している夢を見まして。それを正夢にするためにも頑張ります!

 <プロフィル>

 1990年5月21日生まれ、福岡県出身。2010年の「第4回全日本アニソングランプリ」で、応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得。2011年5月にシングル「Morning Arch」でデビュー。これまでに「夏目友人帳 肆」のエンディングテーマ「たからもの」、OVA「アラタなるセカイ」のテーマ曲「アラタなるセカイ」など、多くのアニメタイアップ曲を発表。小さいころから歌がコミュニケーションツールだったといい、「私から歌を取ったら、ただの生意気なチビでしかない」と自虐的に語る。

 *……12月19日、神奈川・アニメイト横浜、12月20日、大阪・アニメイト大阪日本橋でインストアイベントを開催。2014年1月11日には、都内某所で応募当選者限定のリリースイベントを開催。また、2014年1月25日に大阪・OSAKA RUIDO、2月18日に東京・Shibuya O−WESTでワンマンライブを開催。詳細は公式ホームページなどを参照のこと。

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