テレビ質問状:ノンフィクションW「『戦場のメリークリスマス』30年目の真実」5年の紆余曲折

「戦場のメリークリスマス」を製作中の大島渚監督(右)(c)大島渚プロダクション
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「戦場のメリークリスマス」を製作中の大島渚監督(右)(c)大島渚プロダクション

 WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。1月17日に放送される「『戦場のメリークリスマス』30年目の真実~異色の大島渚映画が蒔いた種~」を担当したWOWOW映画部の須川賢一プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 −−番組の概要と魅力は?

 今月一周忌を迎える大島渚監督。彼の代表作の一つ「戦場のメリークリスマス」の企画から公開までの5年の紆余(うよ)曲折を、大島監督の情熱に巻き込まれてかかわったスタッフや坂本龍一さんらキャストなどの証言、初公開の資料などを交えて明らかにしていく。公開から30年たった今なお、語り継がれる名作の意外な裏側に迫るドキュメンタリーです。

 −−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 昨年、今作のエグゼクティブプロデューサーの原正人さんにお話をうかがう機会があり、「戦メリ」製作の裏側、特に当時、邦画界でほぼ前例がなかった「国際共同製作」にチャレンジしたいきさつがとてもドラマチックで、どうにか番組にできないかと思ったのがきっかけです。また公開から30年たった今、「戦メリ」がもたらした影響や、作品の意義を振り返るのはいいタイミングなのではと思いました。

 −−制作中、一番に心がけたことは?

 「戦メリ」は不朽の魅力を持った映画で、ファンも多い作品です。実は公開当時、ビートたけしさんの発言や雑誌の記事などで製作の裏側が一度語られているのですが、断片だった情報をまとめたり、裏付けしたり、また初号企画書など未公開の資料などを紹介することで、一般の視聴者だけでなく、いろいろご存じの「戦メリ」ファンにも改めて発見があるような番組作りを心がけました。

 −−番組を作る上でうれしかったことは? 逆に大変だったエピソードは?

 坂本さんをはじめ多くの関係者にインタビューを行ったのですが、皆さん思い出が強かった作品らしく、予想をはるかに超えるボリュームの収録素材が撮れました。その量は書き起こしで13万字超。その中には驚くような新事実もたくさん出てきて、毎回お話を聞くのがとても楽しかったです。ただ残念なことに番組の中では尺の都合上、それらを全部紹介できず、取捨選択の作業は非常につらかったです。

 −−番組の見どころを教えてください。

 実は大島渚の映画監督としてのすごさや偉大さを、私自身あまり理解していませんでした。しかしさまざまな方から「戦メリ」という大作を作られた過程をうかがい、ヒットどころか製作すら不可能だと思われていた「戦メリ」を成功させた、大島監督の映画を作りたいという情熱と、人を巻き込む力を知ることができました。この番組を通して、私と同じように大島監督のすごさに気づいていただける人がいれば幸いです。

 WOWOW 映画部 プロデューサー 須川賢一

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