2012年末に公開された「ホビット」3部作の第1部「思いがけない冒険」に続く第2部「ホビット 竜に奪われた王国」(ピーター・ジャックソン監督)が全国で公開中だ。人物紹介にとどまった前作とは打って変わって今作では物語が軌道に乗り、息もつかせぬ展開が待ち受けている。ビルボ・バギンズを演じるマーティン・フリーマンさんはじめ、トーリン・オーケンシールド役のリチャード・アーミティッジさん、灰色のガンダルフ役のイアン・マッケランさんらが前作に続いて出演するほか、ベネディクト・カンバーバッチさん、ルーク・エバンスさん、人気テレビシリーズ「LOST」のエバンジェリン・リリーさんが新たに加わり、「ロード・オブ・ザ・リング」(01~03年)3部作で活躍したレゴラス役のオーランド・ブルームさんも再登場し、作品を盛り上げる。
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かつて、竜のスマウグ(カンバーバッチさん)に王国を乗っ取られ、王子としての地位も故郷も失ったドワーフのトーリン(アーミティッジさん)。彼は、王国奪還の思いを胸に、ドワーフの仲間12人と、ガンダルフ(マッケランさん)、そしてガンダルフが“スカウト”したビルボ(フリーマンさん)とともにはなれ山に向かう。そこで待ち受ける強敵スマウグ。果たして一行は王国を取り戻すことができるのか。
巨大ぐもとの遭遇やエルフによる監禁など、一難去ってまた一難、トーリンたち一行は何度も行く手を阻まれる。激流を下りながらのオークとの死闘では川と陸に、クライマックスのスマウグと対峙(たいじ)する場面では、スマウグが眠る地下帝国と、人間が住む<湖の町>に戦いの場を分散させ、場面を切り替えながら見せ場を作り、見る者の心をがっちりととらえる。またジャクソン監督は、原作「ホビットの冒険」には登場しないエルフのレゴラスとタウリエル(リリーさん)を今回あえて登場させた。ここでのレゴラスが「ロード・オブ・ザ・リング」の時に比べて冷酷で好戦的なのが興味深い。
今作は「ロード~」の60年前の話。一体、何が彼を変えたのか。その変化の理由も、おそらく14年公開予定の第3部最終章「ゆきて帰りし物語」で明らかになるのだろう。今後、ビルボが手にした指輪がどう作用するのか、<湖の町>の住人で弓の達人バルド(エバンスさん)がどんな活躍を見せるかにも注目が集まる。さらに、ジャクソン監督が今回のシリーズの売りの一つとしているハイフレームレート3Dによる映像。従来の秒間24フレームの倍に当たる秒間48フレームで撮影したことで、屋外の映像が実に美しくスクリーンに映える。せっかくなので劇場での観賞をおすすめする。2月28日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で2D/3D同時公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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