先ごろ発表された米アカデミー賞で、作品賞、脚色賞、助演女優賞の3部門で受賞した「それでも夜は明ける」が全国で公開中だ。12年間の奴隷生活を生き抜いたアフリカ系米国人のソロモン・ノーサップが著し、1853年に出版した回顧録を、映画「SHAME シェイム」(2011年)のスティーブ・マックイーン監督が映画化した。プロデューサーにはブラッド・ピットさんが名を連ね、出演もしている。主人公ソロモンを、映画「ソルト」(10年)、「2012」(09年)のキウェテル・イジョフォーさんが演じているほか、英テレビシリーズ「SHERLOCK シャーロック」(10年~)のベネディクト・カンバーバッチさん、「SHAME シェイム」のマイケル・ファスベンダーさんらが出演。年若い奴隷を演じたルピタ・ニョンゴさんが、長編映画デビュー作となる今作でアカデミー賞助演女優賞を獲得した。
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1841年、米ニューヨーク州サラトガで、妻と2人の子供と幸せに暮らしていたバイオリニストのソロモン(イジョフォーさん)は、ある日、白人の男たちに誘拐される。やがて、ニューオリンズの奴隷市場に連れていかれたソロモンは、白人農園主(カンバーバッチさん)に買われることとなる。それはソロモンの長く苦しい12年にも及ぶ奴隷生活の始まりだった……という展開。
ソロモンが奴隷として体験する12年間は過酷極まりない。しかし、ときおり挿入される、黄金色に輝くとうもろこし畑や緑美しい森といった穏やかな描写が凄惨(せいさん)な出来事とのバランスをとる緩衝材となり、マックイーン監督の冷徹な描出力と相まって、事実を冷静に見つめられるゆとりを作品に与えている。とはいえ、そういった感想は、日ごろ民族問題や差別問題の矢面に立たされたことがない筆者だから持てたことだろう。その距離感が、今作を冷静に見つめられるゆとりを与えてくれたのだと思う。受け止める側の感受性や考え方、体験が違えば、また別の感想や感動が生まれるはずだ。7日からTOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほかで全国で順次公開中。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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