桜坂洋さんの同名小説をトム・クルーズさん主演で映画化する「ALL YOU NEED IS KILL(オール・ユー・ニード・イズ・キル)」(7月4日公開予定)のダグ・ライマン監督とプロデューサーのアーウィン・ストフさんが特別映像を引っさげてこのほど来日。東京都内の劇場で作品のプレゼンテーションを兼ねた特別上映会が開かれた。ライマン監督とストフさんがプレゼンテーションを行うのは東京、大阪のほか、撮影場所となったロンドン、スペイン・マドリードの4都市のみ。上映会では24分間の特別映像と、主演のクルーズさんによる3分間のメッセージ映像が流れ、また、会の途中では原作者の桜坂さんも登場し、映像を見た感想や撮影現場を訪れた際のエピソードを語った。
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映画は、いかなる軍事力をもってしても対抗不可能な“侵略者”と人間が壮絶な戦いを繰り広げる近未来を舞台に、同じ1日を繰り返し生きていることに気付いた一人の兵士の運命を描くSFアクション。主人公のウィリアム・ケイジを演じるのがクルーズさんで、そのほかに、「プラダを着た悪魔」(2006年)のエミリー・ブラントさんが特殊部隊の軍人リタ・ブラタスキ役で出演している。
特別映像の前に上映されたクルーズさんからのメッセージ映像では、クルーズさんは原作を「日本の作家によるユニークな作品」と評し、4年前に映画化の権利を取得してからプロデューサーや監督、共演者らと一丸となって製作を進めてきたことを明かした。また、原作では“機動ジャケット”と呼ばれる、1体36キロ、装備によっては55キロもあるエクソスーツ(ex−skeleton suit)を身につけたアクションが見どころの一つと語り、そのアクションをこなすために4カ月の特訓をして役に臨んだブラントさんの役者魂をたたえた。
特別映像では、何本もの足を持つ、不気味な形状をした侵略者が目にもとまらぬ速さで移動し、エクソスーツを着た兵士たちに襲いかかるショッキングで迫力あるシークエンスのほか、タイムループの世界にとらわれながらもケイジの戦闘能力が次第に磨き上げられていく様子などが紹介された。
上映後にはライマン監督とストフさんが登場。ストフさんは原作を「独創性にあふれたユニークな作品」「特異な環境に置かれた人間が、何度も同じ1日を繰り返す中で状況が少しずつ変化し、ラブストーリーが生まれていく素晴らしい物語」と絶賛。一方、クルーズさんとは初タッグとなるライマン監督は、クルーズさんが演じるケイジという男について、これまでクルーズさんが演じてきた役とは異なり、「最初から最後まで臆病な男」で、クルーズさんは“スーパーヒーロー”のイメージを覆す演技を見せていることを強調。さらに、「それを着て動くだけでも少なくとも1カ月のトレーニングが必要」という重いエクソスーツについて「コンピューターグラフィックス(CG)では観客を納得させられない」からと、実物のスーツを作り撮影に挑んだことを明かした。
その後、原作者の桜坂さんが登場。ハリウッドに権利を買われたものの、最初は「そのまま塩漬け(ペンディング)かな」と思ったこと、ライマン監督、主演がクルーズさん、さらに脚本がクリストファー・マッカリーさんと決まってからもまだ半信半疑で、ロンドンを訪れ撮影現場を目にしてやっと、「もしかして(映画化は)本当かも?」と現実味を帯びてきたが、それでも「今もふわふわしている状態」と話し、いまだ実現したことが信じられない様子だった。また、ロンドンに撮影を見に行った際、桜坂さん自身もエクソスーツを着てワンシーンだけクルーズさんと“共演”したエピソードを披露。「僕の演技がうまくいかなくて30回くらいテイクを重ね、死にそうになった」もののなんとか乗り切り、「プロのいるところに変にいくもんじゃないと思った」と、自ら得た“教訓”を苦笑しながら打ち明けた。
その桜坂さんが、「(特別映像だけでも)僕の想像を超えた作品になっている」と映画に期待を寄せると、ストフさんは「原作の小説を汚さず、それをたたえた映画にしたかった」「たとえこれが大作になろうと、コア(核)には桜坂先生の精神が残っている」と語り、またライマン監督も「これほど自分を興奮させてくれる映画はこれまでのキャリアで初めて。映像作家として最高の感動を味わえた」と桜坂さんの才能をたたえつつ、映画をアピールした。映画は7月4日より2D/3D同時公開。(取材・文・撮影:りんたいこ)
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