ラ・ファーファ:ぽっちゃり女子向けファッション誌 好調の理由

「ラ・ファーファ」(ぶんか社)の今晴美編集長
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「ラ・ファーファ」(ぶんか社)の今晴美編集長

 “ぽっちゃり女子”向けのファッション誌「la farfa(ラ・ファーファ)」(ぶんか社)が話題だ。同誌は昨年、日本初の“ぽっちゃり女子”向けのファッション誌として創刊され、20日発売号から隔月の定期刊行誌となった。お笑いタレントの渡辺直美さんがカバーガールを務め毎号8万部を発行。ぽっちゃりの範囲はLL~10Lサイズの女性を想定しているが、「サイズというよりは自分が着たい服を着ようというマインドを持っていることを大切にしている」(今晴美編集長)という。「憧れより共感する読者が多い」という今編集長に話を聞き、好調の理由を探った。

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 ◇成功の背景

  ぽっちゃり女子向けの日本初のファッション誌が成功した背景には今編集長が「H&Mやトップショップ、フォーエバー21、しまむらでも大きいサイズの服がある」と言う通り、以前と比べて可愛くて大きくてサイズの服が安価で手に入りやすくなったことで、ぽっちゃり女子がおしゃれを楽しむ機会が増えていることや、渡辺さんをはじめお笑いタレントの柳原可奈子さんら女性のみならず男性にも好かれるぽっちゃり系タレントの活躍がある。

 そこで同誌は2013年3月に不定期刊行のムック本として登場し、1年間で5号発売され、毎号8万部を発送。創刊1周年の20日発売の5月号をもって隔月発行の定期刊行誌として新創刊された。

 ◇ファッション誌とは異なる発想

 同誌は「太っている女性が読む雑誌がない」と日ごろから感じていた今編集長の企画からスタートした。「ファッション誌が縮小状況にある中で社内の期待値も低かった」というが「いざ出してみると反響がすごかった」と今編集長は振り返る。入社以来、マンガや寝相アートに関わる企画や本を手がけてきたという今編集長がファッション誌を手がけたのは同誌が初だったというが、今編集長は「ファッションへのこだわりがなかったからこそできた」と振り返る。

 「多くのファッション誌は太っていることはタブー。ダイエット広告で成り立っているのではあれば、その発想でファッション誌を作る。だからモデルを細く撮ろうとし、余計なものは隠そう隠そうという発想に行き着く。でも『ラ・ファーファ』では隠すのではなく、カッコよくみせる。そういう発信の仕方をしたかった」と力を込める。一般的なファション誌とは異なる発想で雑誌を作ったことが多くの読者の心をつかんだ一因といえる。

 ◇“憧れ”ではなく“共感”

 従来の多くのファッション誌では、憧れの対象となるモデルがいて、読者に理想のライフスタイルや憧れを提示するという形が一般的だったが、読者は同誌の「ラファモ」と呼ばれるモデルに「憧れより共感」を持っているという。「熱狂的な読者(ラファガ)がいて、全国でイベントをやるたびに来てくれる。憧れというより共感。ラファモとラファガが一緒に成長していこうという感じ。SNSで情報交換して、地元でオフ会をしているラファガもいて、私たち(編集部)がではなくてラファガを主軸にコミュニティーを作っている」という。

 ◇太っていることを推奨は誤解

 “ぽっちゃり女子”にフォーカスし、読者から支持を得る一方で、「太っていることを推奨している」という批判的な声もある。今編集長は「それは誤解」とキッパリ否定する。「多くのモデルや読者は将来やせたいと思っている。ただ、今の連続で将来があるわけだから、今の自分を否定してすてきな自分はあり得ない。今がすてきじゃなくて将来すてきになるわけがない。心身ともに健康というのがその人の魅力になる。今の自分を輝かせていこうということを伝えたい。サイズが大きいからといって今の自分を輝かせない理由にはならないよということ」と力を込める。

 今後は8万部から「倍増を目指す」という今編集長。ファッション雑誌の“常識”を覆した同誌がこれからどんな新風を起こしていくかに注目したい。「ラ・ファーファ」は630円(税抜き)。隔月刊。

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