パトレイバー:千葉繁が話題の実写版語る 「空気感はそのままです」

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 「機動警察パトレイバー」シリーズの実写化プロジェクト「THE NEXT GENERATION パトレイバー」の第1章が5日公開される。人気作の実写化ということで、公開前から大きな盛り上がりを見せている中、実写版シバシゲオ役をアニメで声優を務めていた千葉繁さんが演じることも話題になっている。千葉さんに実写版の撮影や魅力について聞いた。

ウナギノボリ

 ◇シバシゲオは僕みたいなもの

 「パトレイバー」は、歩行式の作業機械・レイバーが実用化された近未来を舞台に、レイバー犯罪に立ち向かう警視庁の特科車両2課中隊(特車2課)の活躍や泉野明ら隊員の日常を描いたSF作品。1988~94年に週刊少年サンデー(小学館)でゆうきまさみさんのマンガが連載され、89~90年にはテレビアニメも放送された。今回の新作は、2013年の東京が舞台で、登場人物は特車2課の“3代目”という設定。同作の劇場版アニメなどを手がけた押井守さんが全7章のシリーズと長編作品の総監督、脚本を担当し、真野恵里菜さんや福士誠治さん、太田莉菜さん、筧利夫さんらが出演する。5日から全7章のシリーズがイベント上映されるほか、長編が15年のゴールデンウイークに劇場公開される予定。

 千葉さんは、アニメ版「うる星やつら」など数々の“押井作品”に出演してきたこともあり、押井監督とは30年来の“盟友”だ。シバは千葉さんをモデルとしたキャラクターとして知られており、実写版は「3年くらい前に、押井さんから電話で実写化の話があった。ボソボソと『やってくれない?』ってね」と直接、出演をオファーされたという。「アニメをやっているときから、時代遅れになる前に、早く実写化しないかな……と思っていた」という千葉さんは快諾した。

 長い付き合いということもあり、押井監督から千葉さんへの演技についての要求はなかったといい「『好きにやって』と言われました。いつもそんな感じなんですよ。(何をすべきか)分かりますしね。信頼してくれているのかもしれません。それに、シバシゲオは僕みたいなもの。アニメもやっていたので、立ち位置は分かっているんですよ」と話す。

 ◇榊班長の怒鳴りの意味が今は分かる

 シバは、アニメなどでは特車2課整備班の主任だったが、実写版では班長に昇進しており、かつて班長として整備班をまとめてきた榊清太郎は死んでいる。千葉さんは「自分が榊班長の年齢に近付いてきて、当時(榊から)怒鳴られていた言葉が、今は分かるようになった。榊班長は、技術を伝えるだけでなく、人間を育てようとしていた。芝居の世界でも、昔、師匠からいろいろ怒鳴られ、当時分からなかったことが、今は至極当然に分かる」と自身とシバの姿を重ねながら語る。

 撮影現場には、整備班のメンバーを演じる約30人にもおよぶ役者に「もっとバカでいい」「どんどん遊んで」などと“班長”のようにアドバイスを送ることもあったという。一方で、真野さんらが演じる隊員については「アドバイスすることはなかったです。私は整備班の班長で、私が仕切るのはおかしい。隊員には(筧さんが演じる)隊長もいますしね」と役と同じような立場で接していたようだ。

 ◇実物大イングラムの存在がその気にさせてくれる

 実写化にあたり、全長約8メートルの実物大98式イングラムが制作されたことも話題になっている。千葉さんは「撮影前に見たとき『おお!』となったけど、撮影を続けると、あることが当たり前になりました。ただ、あることに意味があるんですよ。コックピットもよく作られているし、細部まで作り込まれている。ほかのセットも素晴らしいんです。役者をその気にさせてくれるし、のびのびとできる環境を作っていただいた」と実物大イングラムを含むセットのクオリティーを絶賛する。

 撮影は終了したが「現場は本当の第2小隊のようで“職場”だった。半年、撮影していたので、今は長期休暇のようです」とシバ役から抜け切れていない様子。「実写版は“まさにパトレイバー”という世界になっている。ただのロボットアニメではなく、人間ドラマがあるという空気感は、そのまま実写版にもあります」と作品に込めた思いを語っていた。

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