トム・ハンクスさん、エマ・トンプソンさんが出演する映画「ウォルト・ディズニーの約束」が全国で公開中だ。今作は映画「メリー・ポピンズ」(1964年)の製作にまつわるエピソードを描いたもので、ウォルトをハンクスさんが、「メリー・ポピンズ」の原作者パメラ・リンドン・トラバースをトンプソンさんが演じている。映画「メリー・ポピンズ」を彷彿(ほうふつ)とさせる場面がたびたびあり、感動を高める一助となっている。
ウナギノボリ
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ウォルト・ディズニー(ハンクスさん)は、長年熱望してきた娘の愛読書「メリー・ポピンズ」の映画化に向け、ついに原作者P・L・トラバース(トンプソンさん)との面談にこぎつける。ところが、英国からはるばる米ハリウッドにやって来たトラバースは、ウォルトたち製作陣のアイデアをことごとく否定する。その理由が、トラバースの生い立ちにあることに気づいたウォルトは、ある方法で彼女の心を解きほぐそうと試みる。
トラバースが頑なに拒んだ映画化。その気持ちをなんとか翻させようと試みる周囲の人々。やがてひもとかれていくトラバースの過去が、それとシンクロするように語られるウォルトの生い立ちとともに、ドラマチックにつづられていく。トラバースの回想がときおり挿入され、そこで描かれる小道具やエピソードに、映画「メリー・ポピンズ」の片りんを見ることができる。そこには、脚本を担当したケリー・マーセルさん、スー・スミスさんをはじめとする製作陣の創作が含まれているかもしれない。しかし、ちりばめられたものはどれも、なるほどそうだったのかと納得させられるものばかりで、「メリー・ポピンズ」を見たことがある人なら、もう一度それを見返したくなるはずだ。
メガホンをとったのは前作「しあわせの隠れ場所」(2009年)で、サンドラ・ブロックさんに米アカデミー賞主演女優賞をもたらしたジョン・リー・ハンコック監督。おうような人柄というイメージのウォルトを、ハンクスさんが、その演技力と存在感で好演しており、彼の登場シーンでは、ウォルト自身が立っているような気にさせられた。また、コリン・ファレルさんが、これまでにない顔でトラバースの記憶の中の父親にふんしており、映画の感動の盛り上げにひと役買っている。3月21日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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