人気医療ドラマ「チーム・バチスタ」シリーズの完結編となる映画「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」(星野和成監督)が公開中だ。「チーム・バチスタ」は、海堂尊さんの医療ミステリー小説を映像化した人気シリーズで、2008年10月期にドラマ「チーム・バチスタの栄光」を放送。以降、09年にスペシャルドラマ「ナイチンゲールの沈黙」、10年に連続ドラマ第2シーズン「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」、11年に連続ドラマ第3シーズン「チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸」が制作され、今年1月からはドラマ最終シリーズとなる「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」が放送された。今作は伊藤淳史さん演じる人のいい心療内科医の田口公平と、仲村トオルさん演じる厚生労働省の変人官僚の白鳥圭輔のドラマでおなじみのコンビをはじめ、松坂桃李さんや栗山千明さん、西島秀俊さんら歴代シリーズのキャストも登場。新キャストとして生瀬勝久さんや桐谷美玲らも出演する。
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日本初の国際Aiセンター(Ai=オートプシーイメージング、死亡時画像診断)は発足の目玉として、MRI「リヴァイアサン」の導入が決定するなど世間から注目を集めていた。国と自治体、東城医大が三位一体で取り組む死因究明システムの一大改革に、東城医大の心療内科医・田口(伊藤さん)と厚労省でAi導入を推進する白鳥(仲村さん)が奔走する。センターのこけら落としとなるシンポジウムが10日後に迫る中、東城医大に「三の月、東城医大病院とケルベロスの塔を破壊する」という脅迫状が届く。時を同じくして、司法解剖では死因が判別できない前代未聞の集団不審死事件が発生。そして、Aiセンター始動の日を迎え……という展開。
伊藤さんと仲村さん主演の完結編は、シリーズを通して見てきた人間には感慨深い。田口と白鳥のコンビネーションは一見、凸凹ながらも息が合っており、緊迫した場面も穏やかな場面でも楽しませてくれる。帰ってきた“ジェネラル・ルージュ”こと速水晃一(西島さん)の変わらぬりりしさや、研修医から救命医となった滝沢(松坂さん)と速水の信頼関係など、シリーズファンには感涙ものの要素が満載だ。ストーリーは初見でも十分楽しめる配慮がなされているが、過去のシリーズ、特に最新の「螺鈿迷宮」のあらすじを知っておくと、より深くその世界観を堪能できる。時間的な制約がある中でも、緻密に計算されたミステリーは完成度が高く、特に新キャストの生瀬さん演じる東堂教授と白鳥による“変人対決”は見もの。新薬の認可や死因の究明、現実の一歩先を行く医療界の内実など、リアルに近づくほどドラマチックな展開に心奪われる。3月29日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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