石黒賢:「錦織選手の優勝ありえる」 ウィンブルドンテニスを大胆予想

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 テニスの4大大会(グランドスラム)の一つ、ウィンブルドンテニスがロンドンで6月23日(日本時間)に開幕する。WOWOWでは初戦から試合の模様を連日生中継する。2008年から同局でスペシャルナビゲーターを務める俳優の石黒賢さんに、「テニスの神様がいる」という同大会の魅力や、過去の試合のハイライト、今年の優勝候補などについて聞いた。

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 ◇憧れの場所 「ウィンブルドンは別格」

 石黒さんは、プロテニス選手の石黒修さんを父に持ち、小さいころからテニスを始めた。「ある時期までは選手になりたいと思っていた」と語るほどテニスには思い入れがあり、とくに「僕にとってウィンブルドンは別格。高校球児が甲子園を目指すように、テニスプレーヤーも『いつかは、あのセンターコートでプレーしてみたい』と思うような憧れの場所」と目を輝かせる。

 「おそらくほとんどのテニスプレーヤーが『一番とりたい(優勝したい)大会は?』と聞かれたら、ウィンブルドンと答えると思います。それぐらい歴史があって、チャンピオンというのは一生ついて回る最高の名誉です」と力を込める。「プレーヤーは死ぬ気でチャンピオンをとりにいくし、観客も毎回、試合を楽しみにしている。そして大会側は一糸乱れぬ運営で、前年のチャンピオンにバージングラス(センターコートの芝を初めて踏むこと)で試合を行う栄誉を与えるなどニクい演出で試合を盛り上げる。三位一体でドラマが生まれる下地が出来上がっているんです」とウィンブルドンの魅力を語る。

 ◇「枚挙にいとまない」名試合の数々

 さらに、「08年からスペシャルナビゲーターとして、これまで現地に6回行っているんですが、毎回、エピソードの枚挙にいとまがない」と石黒さん。

 「まず08年はラファエル・ナダル(スペイン)対ロジャー・フェデラー(スイス)の4時間48分にわたる決勝戦。途中、雨による中断をはさみつつ、日没間近で球もほとんど見えないような状態でしたが、結局、最後まで激戦を続けて、ナダルが前年王者のフェデラーを破って初めてウィンブルドンを制したんですね。『ここはなんてすごいところだ!』と思ったんですが、さらに10年には、ジョン・イズナー(米国)とニコラ・マウ(フランス)の3日間にわたって繰り広げられた11時間超の試合。しかも中身もものすごく濃い。12年は、自国、英国のアンディ・マレーが76年ぶりとなるイギリス人選手の優勝を期待されるんですが、決勝で敗れて。でも翌年に見事、悲願の優勝を遂げた。毎回『もう、これ以上の試合はないだろう』と思うんですが、それを凌駕(りょうが)する出来事が起きるんですよ」と名試合について興奮ぎみに語る。

 ◇ウィンブルドンには「テニスの神様がいる」

 劇的な試合の数々に「僕は無神論者ですが、あそこにはテニスの神様がいるんじゃないかと思います」と石黒さんは話す。「神様が試合を面白くしてやろうって、いろいろなことを投げかける場所なんですね」といい、その試合を大きく左右するものにグランドスラム唯一の「芝のコート」を挙げる。

 「最初はきれいだった芝がどんどんはげて日一日と変化していく。劇的にサーフェス(コート面)が変わるのはウィンブルドンだけです。センターコートは今でこそ屋根がつきましたが、ほかのコートは雨が降れば中断になる。そうすると試合の流れが変化する妙がある」と説明。また「芝なのでネットを強く張れないんです。そうすると、ネットの上部にあたったボールが、ハードコートならばはね返されるところが、相手のコートにパタッと落ちる。これが大事なポイントだったり」と“神様のいたずら”について語る。

 そして、芝の上でのプレーについて「僕はWOWOWの取材で一度だけ芝のコートでテニスをやったんですが、芝がクッションになってハードやクレーコートよりもボールが弾まないんです」と続ける。「だから低い重心をキープしなければいけない。それは体力的にも負担がかかりますし、グランドスラムだからセットも長丁場。雨が降って試合が中断しても途切れない集中力や、芝がイレギュラーしてもそれに耐えられる技術など、全部持っている人でないと勝てないんです。個人の見解としては、ウィンブルドンは経験値がものをいうと思いますね」と分析する。

 ◇男子テニスが豊作 「何十年に1人の逸材が複数」

 「テニスというのはただ漫然とボールを打ち合っているのではなく、どのショットもつねに頭で計算しています。僕はテニスをやる立場から、テニスを知らない人にもウィンブルドンの特徴や戦略などを分かりやすくお伝えするかけ橋になれたら」と石黒さんは7回目のスペシャルナビゲーターに意気込む。また、今大会も「初めてウィンブルドンを訪れた08年から、ワクワクはいい意味で変わらない」と期待を寄せる。

 とくに男子選手については「今のテニス界にはフェデラー、ナダル、(ノバク・)ジョコビッチ(セルビア)と、何十年に1人の後世にまで名を残すようなプレーヤーが同時代に3人もいる。そこに、昨年王者のマレーが加われば4人になるわけですが、彼らの牙城に日本人の錦織圭選手がどこまで食い込むことができるのか……。その試合を目撃できる幸せがあります」と目を輝かせる。勝負の行方は「誰が本当に勝つか分からない。優勝候補を絞るのは難しい」と語りつつも、「錦織の優勝もまんざらでもないです」と予想する。

 「08年のウィンブルドンから見ていて、毎年彼はものすごく進化していますね。身体的にも技術的にも。錦織のフォアは攻撃的で素晴らしいといわれていますが、僕はバックハンドの彼の上達ぶりに、びっくりするぐらいセンスを感じる。クロスに落としたり、ストレートに打ったり。その瞬発力、判断の回路のスピードも増しているし、テクニックも上がっているし、リターンは世界トップレベルです。サーブもすごくよくなってる。俺は優勝はない話じゃないと思うんですよね」と熱く語った。

 ウィンブルドンテニスの模様はWOWOWプライムとWOWOWライブで23日~7月6日(29日は除く)に連日生中継。初日は無料放送。22日にはWOWOWプライムで「明日開幕!ウィンブルドンテニス直前スペシャル!」を午後11時半から無料放送する。

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