2014年の映画:ディズニー強し! 社会現象となった「アナ雪」…邦画は山崎貴監督作がヒット

「アナと雪の女王」(C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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「アナと雪の女王」(C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 今年はディズニー映画「アナと雪の女王」が歴史的な大ヒットを記録し、社会現象になった。邦画ではVFX(視覚効果)の名手・山崎貴監督が手がけた「永遠の0(ゼロ)」や「STAND BY ME ドラえもん」がヒットを飛ばした。アニメでは年末に公開された劇場版アニメ「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が公開初週の興行で東宝の全作品で新記録を達成したことも記憶に新しい。話題に事欠かなかった2014年の映画を振り返る。

ウナギノボリ

 ◇「アナ雪」が社会現象に ディズニー作品が大ヒット

 今年3月に公開され、興行収入が254億円、累計動員数が2000万人を突破したディズニーの劇場版アニメーション「アナと雪の女王」(アナ雪)。運命に引き裂かれた王家の美しい姉妹・アナとエルサを主人公に、凍った世界を救う“真実の愛”を描いたファンタジーで、日本語版主題歌「Let It Go~ありのままで~」とともに観客の心をつかんだ。CDから書籍、食品まで関連商品もヒットするなどアナ雪旋風を巻き起こし社会現象に。今年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもランクインし、大みそかに放送される「第65回NHK紅白歌合戦」で特別企画も用意されるなど、話題を独占した。

 7月に公開されたディズニーの実写映画「マレフィセント」も興行収入65億円を突破し、今年公開された実写の洋画でトップを記録した。米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが演じる愛に裏切られた邪悪な妖精マレフィセントが復讐(ふくしゅう)のために真実の愛でないと解けない呪いをかけ、最後は自分の愛で呪いを解くというストーリー。「アナと雪の女王」と共通するのは、ヒロインを救うのは必ずしも“王子様”ではないという視点で、“王子のキス”を待つ受け身のヒロインではなく自分の運命を自ら切り開いていくヒロイン像も話題になった。

 ディズニー映画では今月20日に公開された劇場版アニメーション最新作「ベイマックス」も好調で、公開初週の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)では「アナと雪の女王」に続いてディズニーのアニメーション史上2位のスタートを切った。

 ◇邦画は山崎貴監督作品がヒット

 邦画では、13年12月21日に公開された山崎貴監督の映画「永遠の0」が興行収入87億円を突破したほか、山崎監督と八木竜一監督が手がけた8月に公開された劇場版3Dアニメ「STAND BY ME ドラえもん」も80億円を超えるヒットとなった。

 「永遠の0」は、百田尚樹さんのベストセラー小説を岡田准一さんの主演で実写化。“海軍一の臆病者”といわれた零戦パイロットの久蔵の孫・健太郎が、特攻で死んだ祖父について調べるため、かつての戦友たちを訪ね歩く……というストーリーで、山崎監督が得意とするVFX(視覚効果)で特攻隊員がゼロ戦を操縦する様子をリアルに表現した。「STAND BY ME ドラえもん」は藤子・F・不二雄さん原作の人気マンガ「ドラえもん」を初めて3DCG化。大人の観客も意識した作りで、子供から大人まで幅広い世代が劇場に足を運んだ。山崎監督の作品は実写映画「寄生獣」が公開中で、後編となる「寄生獣 完結編」は15年4月25日に公開される予定。来年も山崎旋風を巻き起こしそうだ。

 そのほか、邦画でヒットしたのが和月伸宏さんの人気マンガが原作の映画「るろうに剣心」(大友啓史監督)のシリーズ完結編。「京都大火編」と「伝説の最期編」の2部作で公開され、「京都大火編」は興収50億円を突破した。

 ◇東宝の新たな柱? 「妖怪ウォッチ」がロケットスタート

 アニメでは4月に公開された人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版18作目「名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)」がシリーズで初の40億円の大台を突破したが、今月20日に公開された劇場版アニメ「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」が公開初週の週末の興行収入16億2900万円を記録し、初日2日間の興行収入では東宝の全作品で新記録を達成した。「妖怪ウォッチ」は小学生を中心にゲームやアニメ、マンガが人気を博し、すでに社会現象となっているが、さらなる大ヒットの兆しを見せている。東宝としては、毎年3月に公開される「ドラえもん」の長編劇場版、4月に公開される「名探偵コナン」の劇場版、7月に公開される大ヒットゲーム「ポケットモンスター」の劇場版に加えて、今回「妖怪ウォッチ」の劇場版が加わった格好で、今後、「妖怪ウォッチ」が冬休み映画として定着するかも注目だ。

 ◇2015年の注目作は…

 来年はディズニー映画では「アナと雪の女王」の短編の最新作「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」と同時上映される実写版「シンデレラ」(ケネス・ブラナー監督・15年4月25日公開)、劇場版アニメでは「おおかみこどもの雨と雪」(12年)で知られる細田守監督の3年ぶりの新作「バケモノの子」(7月11日公開)、マンガ原作の実写映画では諫山創さんの人気マンガを俳優の三浦春馬さん主演で実写化する映画「進撃の巨人」(樋口真嗣監督)が夏に前後編2部作で公開を控えている。また、洋画大作では、来年12月に映画「スターウォーズ」の最新作「STAR WARS:THE FORCE AWAKENS(原題)」(J・J・エイブラムス監督)が公開される予定だ。15年は「アナ雪」超えの作品が出現するか……どんな作品が映画界や世間をにぎわせるのかに注目だ。

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