注目映画紹介:「映画ST 赤と白の捜査ファイル」 赤城対STのスリリングな展開 涙と笑いも

「映画 ST赤と白の捜査ファイル」のワンシーン (C)2015映画「ST赤と白の捜査ファイル」製作委員会
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「映画 ST赤と白の捜査ファイル」のワンシーン (C)2015映画「ST赤と白の捜査ファイル」製作委員会

 今野敏さん原作のテレビドラマの劇場版となる映画「ST 赤と白の捜査ファイル」(佐藤東弥監督)が10日に公開される。今作は今野さんの人気警察小説が原作で、架空の特殊機関である警視庁科学特捜班「ST」の活躍を描いている。2013年4月放送のスペシャルドラマが好評を博し、14年7月期には連続ドラマ化され、放送期間中に映画化決定が発表されていた。藤原竜也さん演じるSTのリーダー格・赤城左門と、岡田将生さん演じるSTの統括を任された百合根友久の軽妙な掛け合いや、個性豊かなSTメンバーらの顔ぶれが話題を呼んだ。映画では殺人事件の容疑者となり逃亡する赤城を、百合根らが追うというショッキングかつスリリングな展開となる。

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 天才ハッカーによる囚人脱獄事件が発生。犯人の鏑木徹(ユースケ・サンタマリアさん)は焼死体で見つかり、殺人の容疑者として警視庁科学特捜班「ST」の赤城左門(藤原さん)が逮捕された。STは解散するが、赤城が拘置所から脱走したため、青山翔(志田未来さん)、結城翠(芦名星さん)、黒崎勇治(窪田正孝さん)、山吹才蔵(三宅弘城さん)らSTメンバーは赤城追跡のため招集される。異動を2日後に控えたSTの責任者である百合根友久(岡田さん)も、赤城の無実を信じて捜査に参加。“フギン”というコンピューターウイルスとの関係に着目し、事情を知る謎の女・堂島菜緒美(安達祐実さん)の元へ向かうが……というストーリー。

 いわゆる警察バディものだが、そのスタイルが斬新なのが魅力。とにかく個性が強すぎる登場人物たちによる濃すぎるほどのからみだけでも面白いのに、さらに視覚的にもタイポグラフィーをはじめポップなCGビジュアルで見る者を楽しませてくれる。特に外せないのが赤城と百合根の漫才のようなやり取りで、互いに長ぜりふを早口でまくし立てるさまは、シリアスな場面すらコミカルに感じさせる。もちろんSTメンバー以外の脇を固めるキャラクターも魅力的で、ユースケさんをはじめとした劇場版から登場する人物も含め、STの世界観を拡充するのに成功している。頭脳戦と赤城の意外な本格アクションなど、ドラマ版からその世界観もスケールアップ。見どころを挙げればキリがないが、ストーリーは心地いいほどのどんでん返しも用意された会心作だ。随所で表示されるカウントダウンにも注目してほしい。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライターで、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。「ST」はスペシャルドラマの放送時から久々にドハマリした作品。映画は“最後”とうたわれているが、ぜひ続編に期待したい。

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