注目映画紹介:「グッド・ストライプス」全くタイプが違う今どき男女が結婚に進む道のり描く

「グッド・ストライプス」のワンシーン (C)2015「グッド・ストライプス」製作委員会
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「グッド・ストライプス」のワンシーン (C)2015「グッド・ストライプス」製作委員会

 モデルや女優、エッセーなど多方面で活躍する菊池亜希子さんと、NHK連続テレビ小説「花子とアン」の“駆け落ち青年”役も記憶に新しい中島歩さんが共演した「グッド・ストライプス」(岨手由貴子監督)が、30日から公開される。マンネリカップルが、子供ができたことをきっかけに、ぶつかり合いながら結婚へと進むまでの道のりを描き出した新しい形のラブストーリーだ。

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 緑(菊池さん)と真生(中島さん)は28歳同士。交際4年のカップルだ。真生のインド出張が決まっても、緑は素っ気なく、インドの真生から届くメールにもだんだん返信しなくなっていた。だが、緑はある日、自分が妊娠していることに気づく。インドから帰国した真生は、自分の母親が産婦人科医として働く病院へ緑を連れて行く。妊娠5カ月目だと分かり、流れで結婚することにした2人。とりあえず、緑は真生の家に引っ越すことになった。しかし、自由奔放な文化系女子の緑と、優柔不断でおぼっちゃまの真生はギクシャク。さらに結婚準備の過程で、思わぬ過去も明かされ……という展開。

 冒頭から心がくすぐられた。カップルがインド料理を食べている雰囲気が面白い。惰性で一緒にいるような2人なのに、出張前に現地気分を味わっている姿もほほ笑ましい。その後、2人はいわゆる「デキ婚」への道を歩む。会話のトーンや振る舞いがとてもリアルで、見る者に媚(こ)びたところが一つもない。今どきの男女の様子を少し距離を持って見るのぞき見的な面白さから、やがて2人の心の内側へ。家族に会って、お互いの過去を知る旅路が語られていく。そこには、一筋縄ではいかない家族関係があり、緑の過去を面白がってバラす姉に笑わされ、幼い頃に別れた真生の父親には、ほろりとさせられる。観客は登場人物と同じスピードで2人のことを知っていく。ふてくされているように見える緑は、ただ愛情表現が下手なだけ。優柔不断に見える真生は相手に気遣う性分なだけで、父親との関係が原因のようだと分かっていく。岨手監督は、今作が長編デビュー作。全く異なるタイプの2人が相手への思いやりを見いだしていくさまを、きれいごとばかりではなく、リアルな人間像の中に描写した。劇中曲をsugar me、主題歌を大橋トリオが担当している。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで30日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。猫も好きですが、今作に出てくるような犬も好きです。

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