「ゴーストライター騒動」として世間をにぎわせた佐村河内守さんとの18年間におよぶ共同作業を含む半生を自身の言葉で振り返った半自伝的告白本「音楽という<真実>」(小学館、1300円・税抜き)を17日に発売する作曲家でピアニストの新垣隆さん。内容について「“過ち”の一つの例であり、あまり褒められたものではない」「彼(佐村河内さん)が読んだら傷ついちゃうと思いますね」と話す新垣さんに、書籍に込めた思いなどを聞いた。
ウナギノボリ
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「音楽という<真実>」は、佐村河内さんのゴーストライターであることを告白した2014年2月の記者会見での出来事をプロローグに、7章仕立てで構成。佐村河内さんとの出会いや印象、ゴーストライターを引き受けるに至った経緯、「なぜ断ることができなかったのか?」まで、佐村河内さんが新垣さんに語った言葉も交えて記されている。
出版するにあたって「騒動について改めて真実を明らかにしたいという思いもあった」と話す新垣さん。「内容はなかなか、あまり褒められたものではないですし、本を出すこと自体いいのか悪いのかはよくは分からない」と悩める胸のうちを明かしつつ、「なぜこういうことになってしまったのか、自分自身確かめるため、自分の記憶をたどって、主観ではありますけど騒動に関してできる限り正確にづつったつもりです」と語る。
14年2月の会見以降、代理人同士のやり取りのみで、直接顔を合わせていないという佐村河内さんについては「すごく問題のある人間」と辛辣(しんらつ)な言葉を投げかける一方、「今回の作業の中で、もちろんそれだけではないということも思い出した」といい、「彼は自分がやりたいと思ったことを実現させる力はあった。それを吸引力と呼んでしまっていいのかは疑問ではありますが、そこに力を貸したという認識も私の中にはありますし、どちらが悪いのかは、どっちもどっちですね」と反省も忘れてはいない。
また新垣さんは「問題のあるやりとりや2人の関係性の中から学ぶこともあった」といい、「一番の過ちは、最初の段階でのボタンの掛け違い。そこから広がっていってしまった。何を学んだのかは『それはこうです』って言葉にして回答するのは難しいですし、ハッキリと申し上げられないのですが、本の中にメッセージとして含まれている気はする」と語ると、「彼が読んだら傷ついちゃうと思いますね。『新垣はこんなことを考えていたのか』ってガッカリして、傷ついて。でも最後には怒って『この野郎!』ってなるはずです」と穏やかな笑みを浮かべた。
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