米俳優アル・パチーノさんがミュージシャン役に挑戦した「Dear ダニー 君へのうた」(ダン・フォーゲルマン監督)が5日から公開される。43年遅れで届いた、あのジョン・レノンさんからの手紙に背中を押され、人生を再生させようとする男の物語だ。実話が基になっており、その実話を耳にしたフォーゲルマン監督が、脚本を書き、映像化した。
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絶頂期を過ぎたミュージシャン、ダニー・コリンズ(パチーノさん)は、親友でマネジャーのフランク(クリストファー・プラマーさん)から、誕生日プレゼントとしてあるものを贈られる。それは、ダニーが崇拝するジョン・レノンが、43年前にダニーに宛てて書いた直筆の手紙だった。当時の自分を励ます文面に突き動かされ、ダニーは人生を変えることを思い立つ。彼は、生まれてから顔も見たことのない息子(ボビー・カナベイルさん)に会うためにニュージャージーへ向かう…というストーリー。
とはいったものの、息子には「二度と来るな」とあっさり追い返されてしまうダニー。そこからの彼の巻き返しがすごい。ツアー用のどでかいトレーラーで息子の自宅に乗り付けたり、7歳になる多動性障害の孫娘に、コネと金を使い特別な教育を受けさせようとしたり。絶頂期を過ぎたとはいえ、いまだぜいたくな暮らしぶりのダニー。ついついスターめいた振る舞いが出てしまうが、それこそが彼の人柄を表しており、不器用ながらも精いっぱいの愛情を表現しようとするダニーと、そんな父親と徐々に心を通わせていく息子の姿には、やきもきさせられたりホロリとさせられたりする。その一方で、ダニーの口説き文句になかなかなびかないダニーが宿泊するホテルの支配人で、アネット・ベニングさん扮(ふん)するメアリーとの軽快なやりとりには、ロマンスというほどの色っぽさはなく、安定感があり心地よい。
もちろん、パチーノさんのミュージシャンぶりも見逃せず、出っ張ったおなかをコルセットで締め上げ、派手な衣装とメークで若作りし、ステージに立つ姿は風格たっぷりで、彼がノリノリで歌う「ヘイ・ベイビードール」は、一度聴いたら忘れられないほどの名曲だ。さらに、劇中流れるレノンさんの楽曲は、レノン財団の許可の下、すべてオリジナルマスターが使用されている。粋なラストにいたるまで、ストーリーと呼応するように流れるレノンさんの歌声が、感動を後押ししていることはいうまでもない。5日から角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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