NARUTO:海外公演はファンの愛にあふれていた 舞台主要キャストインタビュー

舞台「ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-」に出演した(左から)伊藤優衣さん、松岡広大さん、佐藤流司さん
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舞台「ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-」に出演した(左から)伊藤優衣さん、松岡広大さん、佐藤流司さん

 岸本斉史さんの人気マンガ「NARUTO-ナルト-」を舞台化した作品「ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-」が16日にWOWOWで放送される。国内4都市に加え、マカオ、マレーシア、シンガポールでも上演された話題作で、このほど、主演を務めた松岡広大さんと佐藤流司さん、伊藤優衣さんの3人が東京・赤坂のWOWOW本社で取材に応じ、作品や演じたキャラクターなどに対する思い、お互いの印象などを語ってくれた。

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 「NARUTO」は、木ノ葉隠れの里の問題児・うずまきナルトが、里一番の忍者・火影になるため奮闘し、成長する姿を描いた作品で、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1999~2014年に連載された。舞台では、宝塚歌劇団の作品を数多く手がけてきた児玉明子さんが脚本と演出を担当。うずまきナルト役の松岡さん、うちはサスケ役の佐藤さん、春野サクラ役の伊藤さんらが出演し、ナルトと運命の友・サスケとの終末の谷での戦いまでを描いた。WOWOWでは、5月に「AiiA Theater Tokyo(アイア シアター トーキョー)」(東京都渋谷区)で行われた東京公演の模様を放送する。

 --キャラクターを演じる上で苦労したことは?

 松岡さん:ナルトの真っすぐさや泥臭さみたいなところを自分でどう演じるかが難しかったです。自分の今までのイメージを裏切りたかったので、とにかく全力で泥臭くやりました。

 佐藤さん:ナルトとの友情が芽生えてから里を抜けて、終末の谷でナルトと戦うところまで、気持ちの切り替わりという面で2時間半の舞台では時間が足りなかったんですが、その中でサスケの心の移り変わりをどう自分の中で表現していくかをずっと考えてやっていましたね。

 伊藤さん:男性の方がたくさんいる中で、サクラが(ナルトやサスケらが所属する)第七班の中で頑張る意味というのを、私がつぶしてしまわないように、自分もポジションを見極めてやっていくことが大変でした。

 --演じる上で大事にしていたところは?

 松岡さん:気持ちにうそをつかないというところですね。作品はテーマが重いだけあって、愛情や友情や絆、命だったり、そういうテーマに関してうそをついてはいけないと。自分の気持ちに正直にというのを指針として持ってやってました。

 佐藤さん:怒りや不平不満など、“負のもの”を持ってやっていました。いくらプライベートでキャストの人たちと仲がよくても、一歩舞台に入ったら、その彼らを全員憎むという、そういう負の部分が(演じる上で)核だった気がします。

 伊藤さん:サスケを引き留めるシーンとかもそうなんですが、(場面場面で)言葉の重みがあるので、それを大切にしたいと思っていて、舞台ではエネルギーを常に出してやることが課題でした。

 --お互いの印象は?

 松岡さん:(佐藤)流司君とは以前舞台で2年くらい共演していたけど、そのときはあまり話さなかったんです。だけど、NARUTOの稽古(けいこ)になったときに、彼自身を知っていたので、すごくやりやすかったですね。(伊藤)優衣は、第七班の中でも最初あまり話さなくて、個人的にもみんなと話しているイメージがなかったんですが、稽古して本番になるとガンガン来るんですよ。プライベートだと、彼(佐藤さん)がふざけてましたね(笑い)。

 佐藤さん:サスケというキャラクターを演じて舞台から帰って来たときの反動がすごいんですよ。たかが外れたように、ふざけたことを言いたくなっちゃうんです(笑い)。

 伊藤さん:(松岡)広大はまとめ役だよね、プライベートでも。

 松岡さん:2人がめちゃくちゃなことするじゃん(笑い)。だから、聞き役に徹してましたね。

 --舞台を通じて3人の関係に変化はあった?

 佐藤さん:最初のころは、第七班ということもあり、物語を成功させるためにも、この人たちとは腹を割って話そうと思っていて、ずっと一緒にしゃべていましたね。そういうこともあって、最初のうちはしゃべらないといけないみたいなところはあったけど、今はもうナチュラルに話せてますね。逆にしゃべらなくてもよくなる関係になりました。

 松岡さん:そうですね。“語らずとも”というところは自分もあります。

 伊藤さん:確かに。最初は必死になってしゃべらないといけないという部分はありましたね。ただ、舞台の本番中はわざわざ集まって(話し合う)とかはなかった。各自でやろうよみたいな関係でしたけど、何かつながっている感じというか。

 松岡さん:そうですね。しゃべらずともつながっている感じが、稽古から本番中に大きく育ったところだと思いますね。

 --舞台で演じて自分の中で変わったことは?

 佐藤さん:俺、丸くなったんですよね。毎日毎日、(演技で)怒りを爆発させていたら、プライベートが穏やかになったんです(笑い)。

 伊藤さん:自分が思っていることって言葉に出さないとわからないんだと思いました。私、思っていても言えないことが多くて。でも言わないと、何も状況が変わらないし、いい方向に進んでいかないなって。サクラって、自分の気持ちを相手に伝えたりするんですよ。(それに影響されて)自分の本当の気持ちを話すようになったかな。

 松岡さん:今回初めて座長という立ち位置でやらせてもらって改めて感じたことは、舞台って自分だけではなくて、周りの人がいてやっと成り立つということ。座長だから最初はキャスト同士の問題とかも自分が解決しようとか思っていたけど、しっかり解決できる人たちだから、その人たちに任せていいんだと。キャストをしっかり信頼することを覚えましたね。こういう頼れる人たちが周りにいる状態で、演技ができるのは素晴らしいことだし、周りの人たちのおかげで自分も立っていられる。人のありがたさを感じるようになりましたね。

 --松岡さんの座長ぶりは?

 佐藤さん:大人だったかな。最初会ったころなんて“くそガキ”みたいだったけど(笑い)、そのころと比べたら今回大人だった。俺より大人かも。ちゃんと周りが見えていたし。

 松岡さん:いやいや。でも流司君に怒られたこともあったんですよ。

 佐藤さん:初めの段階で、(松岡さんが)こう(前しか見えなく)なっちゃうときがあって、そのときに違うって言ったことはありますね。

 松岡さん:座長としてあるべき姿みたいなのを模索しすぎてスランプになったこともあるし、だから自分で背負い込まずに、背負うところだけ背負えばいいって思うようになったんです。

 伊藤さん:(松岡さんが)一つのことに集中しているなって時は、(共演の)君沢ユウキさんとかが緩めてくれたりしたよね。

 松岡さん:いろんな人の支えで成功に至ったので、周りの人たちへの感謝は強くなりましたね。

 --人気マンガの舞台化について、客の盛り上がりや熱さは感じた?

 松岡さん:日本公演でももちろん感じましたが、海外公演が特に強い印象がありました。コスプレーヤーとかもいて、NARUTO愛にあふれている人たちが演劇を見に来てくれて、それで拍手だったり、笑ったり、泣いてくれるというのは、やっている方はうれしかったですね。

 伊藤さん:NARUTOという作品はすごく愛されているので、ファンの理想に近づくのはどうしたらいいか考えていましたね。ファンの方の愛が強い分、私たちも同じがそれ以上の愛で返していきたいと常に思っていました。

 --今回、WOWOWで舞台が放送されるが。

 松岡さん:舞台は生で見るものという感じが強いけど、今回テレビで、多くの人の目に触れてもらう機会があるのはありがたいことですね。これからNARUTOの輪がさらに広がっていけばなと思います。

 佐藤さん:今回、初めて見る人に「どうですか?」って逆に聞きたいですよね(笑い)。

 伊藤さん:すごくありがたく、貴重なことだと思います。私も今回の舞台をDVDで見たことがあったんですが、舞台の迫力や勢いというのが、映像で見ても変わらないと感じたので、それを視聴者にも感じていただけたらうれしいですね。

 **「ライブ・スペクタクル NARUTO-ナルト-」は16日午後9時半からWOWOWライブで放送。

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