注目映画紹介:「春子超常現象研究所」 中村蒼が“テレビ役”を演じる異色で不思議な恋物語

「春子超常現象研究所」のワンシーン(C)2015 「春子超常現象研究所」製作委員会
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「春子超常現象研究所」のワンシーン(C)2015 「春子超常現象研究所」製作委員会

 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」で期待の映画人に贈られる「ニューウェーブアワード」を受賞した俳優の中村蒼さんの主演映画「春子超常現象研究所」(竹葉リサ監督)が5日に公開される。昨年、「さまよう小指」で同映画祭のグランプリを獲得した竹葉監督がメガホンをとり、突然心を持ってしまったテレビと、その持ち主の女性との奇妙な共同生活を描く異色のコメディー。中村さんがテレビ役を演じ、持ち主の女性・春子をモデルで女優の野崎萌香さんが演じている。

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 突然、心と体を持ってしまったテレビ男(中村さん)は、持ち主の春子(野崎さん)と同居を始め、アルバイトで生計を立てる春子のヒモとして日々を送っていた。やがてテレビ男は仕事を探し始めるが、なかなか見つからずに困っていると、うさんくさいテレビプロデューサー(池田鉄洋さん)にスカウトされ、語学番組のパーソナリティーに抜擢(ばってき)される。12カ国語もの言語を操るテレビ男は語学力を生かして活躍し、人気者となるが、ある日、ふと思い出した自分の記憶を頼りに家族を探す旅に出ようと思い立ち……というストーリー。

 「東京難民」(14年)ではシリアスな役を、「トワイライト ささらさや」(14年)ではコミカルな演技を見せてくれた中村さんが、“テレビ”というあまりにもシュール過ぎる役どころに挑戦し、かぶりもの姿で大真面目に行動する姿には思わず笑ってしまう。そんな中村さんの新境地とともに注目は映像面で、ポップな演出とカラフルな色合いがファッショナブルで、小粋なBGMがよく似合う。奇想天外すぎるストーリーは、異色や新感覚という表現では物足りないほどファンタジックで、ドタバタなノリのコメディーではあるが妙に心に残る。特にクライマックスに向けて、各キャラクターの本音が浮き彫りになり、笑っているうちに胸を打たれるという不思議な感覚が味わえる。シネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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