ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
女優の土屋太鳳さんが主演した映画「orange-オレンジ-」(橋本光二郎監督)が全国で公開中だ。未来から手紙が届くというファンタジックな世界観に加え、大切な人を救うために仲間ともがく姿を描いた青春ストーリー。土屋さんと山崎賢人さんというNHK連続テレビ小説「まれ」のコンビが再共演したほか、竜星涼さん、山崎紘菜さん、桜田通さん、清水くるみさんら若手俳優が出演した青春群像劇だ。土屋さんに「orange-オレンジ-」の撮影秘話や休日の過ごし方などについて聞いた。
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「orange-オレンジ-」は、「月刊アクション」(双葉社)で連載された高野苺さんの人気マンガが原作で、コミックス全5巻は累計発行部数が400万部を突破している。高校2年生の春、高宮菜穂(土屋さん)に10年後の自分から1通の手紙が届く。そこには転校生の成瀬翔(山崎さん)を好きになること、そして翔が1年後に死んでしまうこと、その未来を変えるためにやるべきことが書かれていた。最初はいたずらだと思った菜穂も、手紙に書かれていることが次々と実際に起こり、手紙を信じるようになり、26歳の自分と同じ後悔を繰り返さないため、そして翔を救うため動き始める……というストーリー。
土屋さんは原作マンガを高校1年生の頃に読んでいた。その頃、姉の幼なじみが突然亡くなり、「そのときに姉が、幼なじみの一人の男の子が亡くなったことは残念でつらい記憶だけれど、改めてそのお陰で(お葬式や命日で)こういうふうにみんなで集まれたよねという話を私に話してくれたことが、この作品とともに印象に残っていました」とエピソードを語る。そして、改めて今回の役が決まってから読み直し、「大切な人がいなくなってしまったことのつらさ、重さをすごく感じると同時に、生きていくことって素晴らしいことだけれども、大変だなと感じていて。だからこそ今を生きることの大切さだったり、気持ちをしっかり伝えることの大切さを改めて感じました」という。
土屋さんは、人気マンガの実写化で主人公を演じることになり、プレッシャーはなかったのだろうか。役が決まったときは「私を信じてくださったんだなと思ってうれしかったです。それと同時に不安も感じて。こんなすてきな原作で、人気マンガですので、心が引き締まりました」という。不安に感じつつも「今を生きることの大切さ、命がテーマだということを自分が表現し切れるのかなという不安はありましたが、絶対に自分は伝えるんだという覚悟を持って演じさせていただきました」と力を込める。
自身とのキャラクターの違いも感じており、「菜穂ちゃんは、すごく柔らかくてはかなくてマシュマロみたいな雰囲気を持っている女の子。私は真逆というか、部活とかスポーツをガンガンやってきたし、性格も真逆だからどうしようと思ったんです……」と戸惑いもあったが、「原作を尊重しながら、しっかりと私が菜穂ちゃんの命を吹き込みたいと思って」と自身の菜穂像を作り上げていった。
山崎さんとは朝ドラ「まれ」で夫婦役を演じ、その直後の撮影で難しさはなかったのだろうか。「(『まれ』での能登弁の)せりふをいうときに方言が抜けなくて、イントネーションを直されることが多くて。あと、いままでは夫婦をしていたので、いきなり菜穂ちゃんと翔として(恋愛の)照れるシーンとかあったら、お互い笑っちゃって。なんか変な感覚だねって2人で笑っていましたね」と当初は照れがあったという。
また、「『まれ』は恋愛の部分をほぼすっ飛ばしてすぐに結婚に行ったので、すぐ家族になったような感覚だったんですけれど、今回は恋愛にたどり着くまでの気持ちがすごく大事でした。ちょっとした目線とか、例えば『まれ』では夫婦としてしっかり見つめ合っていたのを、こちらではお互いが見たら外すというようなのが多くて、そのへんはちょっと難しかったですね」と話す。「でも本当に賢人君がしっかり翔として雰囲気から空気から変えてくださっていたので、それは菜穂としてちゃんと向き合うことができました」と山崎さんの演技を絶賛する。
同世代の共演者が多い現場で、「原作の6人の関係性は1カ月(の撮影期間)で作れといわれても難しいんですけど、通君、くるみちゃん、紘菜ちゃん、竜星君、あと賢人君が相談しなくてもお互いの関係性だったりとかキャラクターを意識しながら現場を過ごしていました。本当に『orange』の中での高校の文化祭とか体育祭が、ずっと(その世界が)つながっているような感覚で撮影はしていました」と青春シーンを満喫した。
現場では「くるみちゃんがカメラがすごく好きなので教えてもらったり、通君はカメラを買ってきて習って撮ってましたね。竜星君はすごく明るくて、ポジティブな性格なので、周りを盛り上げてくれたり。紘菜ちゃんもすごく面白いし、賢人君はすごく優しくて人に愛される魅力があるので、全力でふざけたりして。なんか雰囲気はすごくよかったです。いつも現場に行くと笑わせてもらって。スタッフはうるさいなと思っていたかもしれない」と笑顔で振り返る。
土屋さんは今年、朝ドラヒロインを演じ、また現在は「下町ロケット」(TBS系)に出演中で、今作のように映画にも出演と大活躍。「今年の顔」として注目されているが……。「私自身は何もあまり変わっていないです。でも、たくさんの方にお会いして『この作品見たよ』とか小さいお子さんが元気に大きな声で役名で声を掛けてくれたりすると、演じてよかった、生きていてよかったと思います」と幸せそうに語る。
そんな土屋さんが美容と健康で気を使っていることは「お水を飲むことと、走ることです」という。「お水は粒子の細かい、吸収力がいいお水を飲んでいます。走るのは私の場合は5キロくらいで、時間は25分くらいですね。そんなに速くは走らないです」と健康的だ。
休日も「最近、すごく贅沢な休日を送りました。朝7時か8時くらいに起きて10時からスーパー銭湯が開くので、そこまで3キロくらい走って、そのままスーパー銭湯で岩盤浴をしてお風呂入って、お昼に帰ってきて、お肉を食べて、そこから鍼(はり)に出かけて2時間半くらいやって、帰る途中によもぎ蒸しに行って、そこから走って帰るっていう。一日中走って、あれ、もう時間がたっちゃったみたいな感じなんです」と走りながら体のメンテナンスをしている。
「今はなかなか友人と会う時間がなかったり、次の日に仕事があるとしっかり体調を整えたいと思っているので。でももし時間があったら高尾山に行ったりとか、友人と会いたいです」と願望を語る。
「orange」では菜穂の10年後が描かれているが土屋さんの10年後はどうなっているだろうか。「大切な人と大切な時間を生きていてほしいですね。大切な人とは家族だったり友人だったり、どうなっているか分からないですけど、新しい家族ができていたりとか……」と思いをはせていた。
さらに、10年後の自分から手紙が届く設定だが、10年前の自分に手紙を出すとしたら?「10年前のオーディションをきっかけにこの世界に入ったんですけど、反省はあっても後悔はない時間を送ってきました。家族の支えだったり、友人が支えてくれたりとか、知らず知らずのうちにいろんなアドバイスをもらっていたりして感謝の気持ちがすごくあります。つらいこともいっぱいありますけど、迷わずにそのまま一つ一つ進んでいけばいいと思うよっていいたいです」とこれまでの生き方に迷いはないという。
後悔のない生き方をするためには「今を大事にすることです。それは本当に『orange』で学びました。改めて実感しましたね。一瞬一瞬、それが最後かもしれないので。明日が普通に来るとは限らないなと思ったからこそ、今を大事にということを意識しながら生きています!」と力強く語った。
今後、女優としては「こんな役を土屋太鳳にやらせてみたいなと想像をしていただけるような女優になりたいなと思います。そのために一つ一つの役との出会いを大事にしていきたい」と目標を語った。
映画「orange-オレンジ-」は全国で公開中。
<プロフィル>
つちや・たお 1995年2月3日生まれ。東京都出身。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディションMISS PHOENIX審査員特別賞を受賞して芸能界デビュー。15年放送のNHK連続テレビ小説「まれ」のヒロインに抜てきされ主演。これまで出演したおもな映画に「トウキョウソナタ」(08年)、「日輪の遺産」(11年)、「映画 鈴木先生」(13年)、「るろうに剣心」シリーズ(14年)、「図書館戦争 THE LAST MISSION」(15年)がある。
(インタビュー・文・撮影:細田尚子)
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