イラストレーターで作家のリリー・フランキーさんが18日、東京都内で行われた映画「シェル・コレクター」(坪田義史監督、27日公開)の公開記念イベントに登場。リリーさんにとって本作は、15年ぶりとなる単独主演作だが、「前衛的というか、実験的な作品。大ヒットということは考えにくい」と語り、「監督は潔い人なので、この映画はヒットしないだろうからと、試写会の前日にハローワークに通っていたらしい」と暴露して、坪田監督を苦笑させた。
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「シェル・コレクター」は、ピュリツァー賞受賞作家のアンソニー・ドーアさんの同名小説が原作。離島を舞台に、リリー・フランキーさん演じる盲目の貝類学者と、それを取り巻く人々の姿を描いた作品で、全編にわたって色彩豊かで圧倒的な自然美が映し出されている。この日は、共演の池松壮亮さん、橋本愛さんも登壇した。
映画のパンフレットには、キャッチフレーズに「未体験の艶麗劇薬ファンタジー誕生!」という言葉が使われているが、橋本さんは「埋もれがちというか、大衆受けしないというか。マニアックというか、アンダーグラウンドというか……」と言葉に窮し、リリーさんは「見終わった後に『坪田さんって人、わけわかんないんだけど』ってツイートしてくれたら」と観客にアピールした。
池松さんが撮影を振り返り、「僕は2日間だけの参加だったので、坪田さんのすごい才能を見抜くことができず、リリーさんに夜な夜な『大丈夫なんですかね? これ、どんな感じになるんですかね』と話していました」と語ると、リリーさんは「『考えるな、何よりも俺が不安だ』と言っていた」と当時を思い出して苦笑いしていた。
一方で、リリーさんは「僕は若いころ、こういう映画をたくさん見ていたなって。犯人が誰というのもないですし、笑いも感動も涙もないけれど、主人公の学者が持っている逃避願望や、一人になりたいのになれない、趣味的なものに没頭して殻に閉じこもっている……などの感じは、すべての人が持っているもの。そうやって見るのもいいですし、それぞれの方がこの映画でイマジネーションを膨らませていただけたら」とコメント。
坪田監督は「盲目の貝類学者が、手のひらの貝から、自然の畏怖や人の欲望といったものを見えないからこそ見てしまう映画。それぞれ見た人の感性を触発するようないろんな仕掛けを盛り込んでいます」と説明し、「日本のアバンギャルド(前衛的)な部分を世界に発信したいと思って作りました」と胸を張っていた。
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