テレビ質問状:「格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉」 崔洋一監督が密着

「ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉」のワンシーン
1 / 3
「ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉」のワンシーン

 WOWOWは毎週土曜に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。3月12日午後1時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉」の番組プロデューサーを務めるWOWOW編成企画部プロデューサーの太田慎也さんに、番組の魅力を聞いた。

あなたにオススメ

 --番組の概要と魅力は?

 車いす同士のフルコンタクトが認められるなど、数あるパラスポーツの中でも“最も激しい”ともいわれているウィルチェアーラグビーをご存じでしょうか。別名「格闘球技」ともいわれる通り、その迫力、魅力は圧倒的です。日本代表はこれまでパラリンピック本大会ごとに徐々に成績を上げ、2012年ロンドン大会では4位。今年9月に開催されるリオ大会ではメダルを狙える位置におり、実際に選手やスタッフ、関係者は、世界の頂点を目指し過酷なトレーニングを積んでいます。そんな日本代表に、映画界の巨匠である崔洋一監督が密着しました。これまでご自身の作品で常にアウトローを描いてきた崔監督が見るウィルチェアーラグビー。そこも今番組の魅力だと思います。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 もともと私もウィルチェアーラグビーに興味があり、日本で開催された国際大会などに足を運んでいましたが、時を同じくして崔洋一監督から「一緒にやりたいドキュメンタリー企画がある」と、ウィルチェアーラグビーのお話をいただきました。ウィルチェアーラグビーが持つ競技の魅力や激しさだけでなく、“人間くささ”や“選手たちの本音”に興味があるという話を聞き、これはぜひ実現させたいと思い、企画を立ち上げました。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 制作チームの中では、可能な限り選手や関係者の「そのまま」を撮ろうと話をしていました。カメラの前だから話せること・話せないこと、できること・できないことというのは事実としてあるかもしれませんが、ポロリとこぼれる本音や、ちょっとした仕草や会話の中にこそ、人間くささやおかしさがあると崔監督とも話をしました。そういう意味では、見ていてザラザラ感や手触り感のあるドキュメンタリーになると思っています。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 代表の合宿や海外遠征、選手たちの日常、パラリンピックのリオ大会の出場権を懸けたアジア・オセアニアチャンピオンシップなど、半年にわたってたくさんの取材をさせていただきました。一方で、番組タイトルに「百の言葉」とつけた通り、競技、試合の取材と並行して、選手やスタッフを中心にかなりの方にインタビューさせていただきました。決して気分のいい話だけではなかったと思いますが、皆さんがたくさんの思いをカメラの前で話してくださったことにとても感謝していますし、そのお陰もあって、「言葉」そのものが番組の主役です。

 大変だったことは、あえていえば、崔洋一監督と現場をご一緒できたことかもしれません。これまでにないほどテーマや素材と深く向き合い、映像やドキュメンタリーの可能性について考えさせられる体験でした。

 --番組の見どころを教えてください。

 オーストラリア、カナダ、アメリカという、これまで“世界3強”といわれた強豪に割って入る日本代表のレベルの高さとその映像自体はもちろん見どころですが、プレーする選手たちはそれぞれの情熱、悩みとも向き合っています。一選手としての技術、体力、チームが抱える課題もそうでしょうし、障害もその一つかもしれません。さらには生活のことや家族のことなど、皆さん真正面から語ってくれました。ご覧いただいた方が、「競技」と「言葉」、その両方を通して何を感じていただけるか、そこが見どころだと思います。

 --視聴者へ一言お願いします。

 繰り返しになりますが、ウィルチェアーラグビーには、ルールや戦術などを知らずとも、とにかくまず見れば伝わる圧倒的な迫力があります。それに加えて、リアルな言葉の数々を番組に詰め込みました。崔監督は、障害者スポーツであるということも含め、深く、丁寧に、テーマと向き合い、人間を見つめていました。

 今年のパラリンピックのリオ大会、そして4年後に訪れる東京大会でも、世界を舞台に大暴れしようとしている日本代表の戦士たちと、ぜひ対峙(たいじ)していただけたらと思います。そして、競技が持つ奥深さや多様な見方にも、気づいていただけたらうれしいです。

 WOWOW 編成企画部 プロデューサー 太田慎也

写真を見る全 3 枚

テレビ 最新記事