小新井涼のアニメ考:アニメジャパンの意義と発見

「浪川大輔とアニメサポヲタ倶楽部ww」の収録現場で、(左から)小新井涼さん、前田玲奈さん、伊瀬茉莉也さん
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「浪川大輔とアニメサポヲタ倶楽部ww」の収録現場で、(左から)小新井涼さん、前田玲奈さん、伊瀬茉莉也さん

 週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第22回は、3月に開かれたアニメイベント「アニメジャパン2016」を取材した小新井さんがアニメジャパンの意義について考察します。

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 先月末、東京ビッグサイトで開催されたアニメの祭典「アニメジャパン2016」。前身である「東京国際アニメフェア」と「アニメコンテンツエキスポ」のそれぞれの特色を統合し、ステージ、物販、ブース展示などをメインとした、まさに「アニメのすべてが、ここにある」イベントです!

 3回目となる今年、私は「浪川大輔とアニメサポヲタ倶楽部ww」のリポーターや、日テレさんのブースにてステージMCをさせていただきましたが、しみじみと感じたことがあります。

 アニメジャパンは、“今”を映す鏡なのだと考えます。

 毎年アニメジャパンで一番楽しみなのは、アニメ化決定の一報やキャストさんの発表などなど……。日本最大級のアニメイベントにあわせて解禁される最新情報の発表です。

 個人的に今年一番の衝撃だったのは「刀剣乱舞」のダブルアニメ化。自分でもなぜそんなに驚いたのかというと、おそらく一般開催初日の26日に、会場で、直接、それを知ったからだと思います。

 最新情報も、早いものはビジネスデーの25日には既に発表されていたのですが、刀剣乱舞のアニメ化が一斉に報じられたのは26日の朝から。一般開催の入場時間まで解禁を待つという戦略は見事に功を奏し、会場に展示されたキービジュアルでそれを知った時の衝撃は、私だけでなく多くの参加者の皆さんの胸にも深く刻まれたのではないかと思います。

 会場では最先端の“アニメを経験”することもできました。話題のプレイステーションVRで「アクエリオン EVOL」の合体シーンを実際に体験してきたのです。思わず泣いて感動するぐらいの没入感はまさに“2次元に行く”の実現。将来アニメは視聴だけでなく“経験”になり得ることを期待させる出展でした。

 しかし、それらの最新情報や最新技術も、アニメジャパンが映す“今”のほんの一部分でしかありません。私が感じたアニメジャパンが映し出す今とは、制作サイド、作品、ファンの方々、そのすべて。つまりアニメを取り巻く環境全部の今だったのです。

 今回それを最も反映していたのは、なんといってもアニメグッズの物販でした。今年の筆頭はやはり「おそ松さん」でしたが、予想以上にグッズが多かったのが“キンプリ”こと「KING OF PRISM by PrettyRhythm」。今なおロングラン上映となっていますが、公開が今年の1月9日だったのを考えると、当初の予定では既に上映終了となっていたはずの作品です。

 それにもかかわらずさまざまなブースでグッズが見られたことは、各メーカーさんがタイムリーな話題作も敏感に察知し、増加した女性来場者の方々に向けたグッズ展開を入念に行っていることがよく表れていた出来事でした。

 そして、今年の物販は女性に限らず、過去最高となった全体の入場者数の増加にも少なからず影響を与えていそうです。「物販の充実で、これまでよりもブースに行く理由ができたのでは」とこのコラムの担当編集者さんも言っていましたが、その言葉を裏付けるかのように、これまでは通行が困難になるほど混むというイメージがなかったアニメジャパンが、今年は一時コミケの企業ブース並みに混雑し、閉会ギリギリまで列をなすブースや、コミケの企業ブースではおなじみとなっている「手を挙げての列移動」という場面までもが見受けられました。

 女性によるグッズの需要が増え、メーカーさんもパッケージよりグッズに重点を置き始める……。今年のアニメジャパンの物販は、そんなアニメ産業の現状を映した縮図のように感じました。

もうひとつ印象的だったのは、海外ファンの方々。元々少なくなかったのが、年々目に見えてその割合は増えています。今年は出展側でも「bilibili動画」や「絵梦」など、海外からの参加が話題となりました。近年増え続ける公式配信など、アニメにおける海外展開への比重が確実に大きくなっている現状を想起させる出来事です。

 「アニメジャパン」という名称ではありますが、今後の展開いかんによっては、「世界中のアニメのすべてが、ここにある!」となる可能性もあるのではないでしょうか。

 日々アニメに関する情報はあふれていますが、さまざまな企業、関係者、作品、情報、ファンの方々が一同に会し、その全体を見わたせることはなかなかできません。

それを可能とし、アニメを取り巻く“今”を縮図として映し出すまさに鏡のようなイベントなのではないか。そう思った今回のアニメジャパン2016でした。

 ◇プロフィル

 こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。

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