“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれる俳優の井上芳雄さんが、WOWOWで6月13日(現地時間12日)に生放送される米国演劇界の祭典「第70回トニー賞授賞式」のスペシャルサポーターに3年連続で就任しこのほど、東京都内で取材に応じた。今回は授賞式を前に本場ニューヨークロケも敢行。3年目にして初めてのことで、当日は日本のスタジオから「今まで以上に生きた情報が伝えられると思う」と意気込む井上さんに注目作や見どころなどを聞いた。
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トニー賞は1947年に創設され、ニューヨークのブロードウェーの劇場で公演された作品が対象。演劇部門とミュージカル部門でそれぞれ作品賞、リバイバル(再演)作品賞、主演男優、主演女優賞などが授与される。今年はニューヨークのビーコン・シアターが会場となる。昨年は「王様と私」で渡辺謙さんがミュージカル主演男優賞にノミネートされたことも話題になった。
井上さんは今年の注目作にブロードウェーで大ヒット中のミュージカル「ハミルトン」を挙げる。「イン・ザ・ハイツ」などで知られるリン・マニュエル・ミランダさん作で、“合衆国建国の父”の1人とされる18世紀の偉人アレクサンダー・ハミルトンの生涯を描いた作品だ。音楽的なユニークさもあり“ヒップホップミュージカル”とも呼ばれているが、井上さんも「今年は『ハミルトン』に尽きる」と力を込める。
井上さんは「(題材は)実在した歴史上の人物で、きっと普通に作ったら“歴史ミュージカル”“勉強ミュージカル”になってしまうところなんですが、新しい描き方になっていて、しかもこれだけ成功している。何がそんなにスゴイのかという意味でも興味があるし、僕が見た感想も当日はお伝えできたらと思う」と話すと、「“頭打ち”っていうわけじゃないですが、新しいスタイルのミュージカルは出てこないってよく言われていて。でも今年『ハミルトン』で新しい流れがくるのか、すごく興味深いことだし、何というかアメリカの人材、才能は層が厚いなって」と感心する。
そのほかではブロードウェー初のアフリカ系アメリカ人によるミュージカルのリメーク版「シャッフル・アロング」にも注目しているという井上さん。「日本人では実感が湧きにくい部分なんですけど、人種のことや問題全部が関係していると思うんですよね」と語ると「『イン・ザ・ハイツ』も移民の話でミランダさん本人も確かラテン系。ブロードウェーって行ってみると分かるんですけど、白人の観客が圧倒的に多くて。でもいろいろと変わってきているのかなって感慨深いものがありますね」としみじみとしていた。
自分が演じてみたい役や歌いたい曲を探すのもトニー賞の楽しみの一つと明かす井上さんは「役で考えると『ファインディング ネバーランド』がいいと思いますね。すごく派手な作品で主演の俳優さん(マシュー・モリソンさん)は年代的にも自分と変わらないと思うので」とにっこり。また海外で作品が発表されるたびに「日本人だったら」と想像をめぐらせることも多いといい、「みんなそういうふうに作品を見ていると思いますよ。何かの折に市村正親さんの名前を出したら『名前を出してくれてありがとう』ってメールがきて。『貪欲だな先輩は』って思いましたね」と笑っていた。
「生中継!第70回トニー賞授賞式」はWOWOWプライムで6月13日午前8時に同時通訳で放送。同18日午後7時には字幕版も放送される。
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