清水富美加:「HK/変態仮面アブノーマル・クライシス」ヒロインの魅力は「清純という名のエロス」

「HK/変態仮面アブノーマル・クライシス」について語った清水富美加さん
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「HK/変態仮面アブノーマル・クライシス」について語った清水富美加さん

 俳優の鈴木亮平さんの主演映画「HK/変態仮面アブノーマル・クライシス」(福田雄一監督)が公開中だ。映画は人気ギャグマンガ「究極!!変態仮面」が原作で、2013年に公開された映画「HK/変態仮面」の続編となる。今作では、鈴木さん演じる下着をかぶることで潜在能力を発揮できる主人公・色丞狂介が、世界中からパンティーが消えてしまうという危機に立ち向かう姿を描く。前作に引き続き今作でもヒロインの姫野愛子を演じる女優の清水富美加さんに話を聞いた。

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 ◇観客も驚いた続編決定の知らせに「待望でした!」

 スマッシュヒットを記録した前作から3年がたち、前作と同じキャストが再集結した今作だが、主演の鈴木さんをはじめ出演者たちの状況は一変。一躍、人気俳優となっている中での続編に、「待望でした!」と清水さんは満面の笑みを浮かべる。

 続けて、「前作の打ち上げのときに『続編をやりたい』という話が出ていた」と切り出し、「(前作のときは)『仮面ライダーフォーゼ』しかお仕事をしていない時期だったので、自分が結果を出せなかったなと思っていたこともあって、もう呼んでもらえないだろうなと思っていました」と当時の心境を打ち明ける。

 そういった状況での続編決定に、「単純に続編に呼んでもらえたことへのうれしさがすごくあったし、(前作から)3年もあったので呼んでもらえないまま撮り終わっているのでは……とかも考えたりしました」と自虐的にコメントし笑う。

 福田監督の作品はおかしなことを真顔で発言するという描写が特徴的だが、清水さんは「前作が終わってから、もし続編に出させてもらえるのなら、(『変態仮面』は)『仮面ライダー』より正当派のヒーロー、そして『アイアンマン』のような存在だから、真面目にやろうと決めていました」と話し、「前作は恥ずかしさを捨てられない場面もあったのですが、今回は恥ずかしいことは全然なかったです」と振り返る。

 ◇福田組の現場「恥ずかしげもなくやるのが醍醐味」

 清水さん演じる愛子は大学生となったが、「前作よりも大人になって、(狂介に対して)可愛らしさというより諭すようなせりふがあったりするので、頼りなく可愛らしい印象から、もう少し女性っぽい雰囲気を出すよう意識しました」と役のイメージを語り、「前作では変なことを言っているという意識を持ってしまっていたのですが、今回はどんな変なせりふがあっても、『パンティー返して』というせりふも『お金返して』という気持ちと同じぐらいのリアルさを出すようにしました」と意図を説明する。

 さらに愛子の魅力を、清水さんは「今どき珍しい清純派で、絵に描いたようなヒロイン」と評し、狂介や真琴を引き付けてしまう要因として、「清純という名のエロスなのでは。もともとセクシーなものにエロスを感じるよりも、清純さにエロスを求めるほうが変態……自分でも何を言ってるのだろうと思いますが、そうだと思います(笑い)」と分析する。

 前作と同じキャスト陣が集まったことに懐かしさを感じつつ、「パンティーというワードが多過ぎるなと(笑い)」と清水さんは話し、「いろんな人がパンティーと言ってるので本当にすごい。恥ずかしいようなことを恥ずかしげもなくやっているというのは、福田組、『変態仮面』の醍醐味(だいごみ)だと思います」と言ってうなずく。

 久しぶりに再会した主演の鈴木さんには「今回も(体を)仕上げてきているなと」と感動したと清水さんはいい、「女子全員がノーパンになったというときに出たナチュラルな鼻息の荒さに、『さすが変態だな』と亮平さんのすごさを感じました。でも男の人って普段は社会性で隠しているだけで、皆さんきっとあんな感じなのでは……」とたたえつつ笑みを浮かべる。

 真琴正役の柳楽優弥さんを「(NHK連続テレビ小説)『まれ』でご一緒させていただいたときは男らしいカッコいい役で、現場にいる女性陣がざわつくくらいだったのに、今作では全然イメージが違う」と清水さんは驚き、「一緒のシーンなのに『柳楽さんがいない』と探していたら実はずっとそこにいて、(柳楽さんが)真琴になりすぎて見当たらなかった。俳優さんとしてのオーラやカッコよさを消し、気配もなくて驚きました」と振り返る。

 ◇今後は時代劇にチャレンジしてみたい

 原作や前作と比べ、今作を「原作の方がより笑える“おバカ”な要素が強い気がしている中、今作はシリアスなヒーローものだと思う。感動の中に福田さんのギャグ要素が加わっているのが面白いと思います」と清水さんは説明。鈴木さんが演じる変態仮面については「大人になって考えてみると、ちょっとパンティーはかぶってほしくない」と切り出し、「ヒーローの恋人は大変だなと冷静に思いましたけど、映画の中ではカッコいい」と目を輝かせる。

 キャリアを重ねていく中で「成長を感じることはありますが、どんな作品に出てもいつまでたっても『自分はまだまだ』というのは変わらない」と真摯(しんし)に語り、「一つずつできないことをクリアしていき、そうすることで前よりも女優という仕事に対して向き合えている気がします」と充実感をにじませる。

 そんな清水さんが今後挑戦したいのは「時代劇に出てみたい」といい、「時代劇は現代劇と違って、(時代背景として)家がこうだからとか、決まりだからという前提があり、やるせない中で運命が決められていく。そういう中で人というものを研究してみたい。やってみたいというのはあります」と思いをはせた。映画は全国で公開中。

 <プロフィル>

 1994年12月2日生まれ、東京都出身。「レプロガールズオーディション2008」でグッドキャラクター賞を受賞しデビューし、2009年から「ラブベリー」(徳間書店)の専属モデルとして活動を始める。11年に特撮ドラマ「仮面ライダー フォーゼ」のヒロイン・城島ユウキ役で出演、15年にはNHK連続テレビ小説「まれ」でヒロインの同級生・蔵本一子を演じ注目される。現在は情報番組「にじいろジーン」(フジテレビ系)にレギュラー出演中。主な出演作に、「HK/変態仮面」(13年)、「龍三と七人の子分たち」(15年)、「ズタボロ」(15年)など。16年7月には出演した映画「全員、片想い」の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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