注目映画紹介:「全員、片想い」 八つの片思いを旬なキャストで映像化 甘く切ない気分に浸れる

映画「全員、片想い」のビジュアル (C)2016「全員、片想い」製作委員会
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映画「全員、片想い」のビジュアル (C)2016「全員、片想い」製作委員会

 片思いをテーマにした八つの恋愛エピソードを描くオムニバス映画「全員、片想い」が2日に公開される。今作は俳優の加藤雅也さんがパーソナリティーを務めるFMヨコハマの番組「BANG!BANG!BANG!」での発信をきっかけに、小説投稿サイト「E★エブリスタ」とFMヨコハマが共同で片思いをテーマに小説を募集し、その中から選ばれた4本と映画オリジナルストーリー4本を映画化。かつて人気グループのボーカリストだった三崎透(加藤さん)が、自身のラジオ番組でリスナーから片思いエピソードを募集し、7週連続で紹介する企画を始め……という構成で各エピソードが展開していく。

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 片思いエピソードは、幼なじみの2人(伊藤沙莉さん、中川大志さん)の甘酸っぱい青春を描いた「MY NICKNAME is BUTATCHI」(飯塚健監督)、さえない新入社員(桜田通さん)と仕事ができる上司(森絵梨佳さん)の微妙な距離感がもどかしい「僕のサボテン」(永田琴監督)、内気な女子高生(広瀬アリスさん)が美容師(斎藤工さん)に淡い恋心を抱く「サムシングブルー」(宅間孝行監督)、性同一性障害の韓国人留学生(知英さん)の複雑な思いを描く「片想いスパイラル」(原桂之介監督)、彼氏がいるとうそを繰り返す女性(新川優愛さん)が誠実な青年(志尊淳さん)に恋してしまう「嘘つきの恋」(藤井道人監督)、夏の間だけ一緒に暮らすことになった従兄(千葉雄大さん)と暮らすことになったヒロイン(清水富美加さん)の心境がだんだん変化していく様を映す「あさはんのゆげ」(山岸聖太監督)、介護施設で働く男女(橋本マナミさん、横浜流星さん)の恋愛をつづった「イブの贈り物」(伊藤秀裕監督)という七つが紹介される。そして、特集が終わったとき三崎がある決意をし……という「ラジオパーソナリティー」(伊藤秀裕監督)も含めた8エピソードで構成。

 「片思い」という言葉の響きには、甘さと切なさが同居したような、なんともいえないもどかしさを感じてしまう。今作は、そんな片思いにフィーチャーした恋愛エピソードをまとめたアンソロジー的な恋愛映画で、さまざまな年齢、立場などの視点で物語が描かれており、誰しもがどこか共感できるような内容だ。各エピソードの見せ方も色合いが異なり、「サムシングブルー」や「イブの贈り物」のように、意外な展開と演出に驚かされたりもする。ひとつひとつの物語の長さも適度でテンポがよく、ドキドキしたりキュンとしたり、切なくなったり、面白かったりと、心に潤いをたっぷりと与えてくれる。その中でも加藤さん演じる三崎のエピソードが、一番胸に突き刺さった。2日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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