高森奈津美:初のパペットアニメ声優は「チャレンジ」 演技に変化も

「ちえりとチェリー」(中村誠監督)で主人公の少女・ちえりの声優を務める高森奈津美さん
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「ちえりとチェリー」(中村誠監督)で主人公の少女・ちえりの声優を務める高森奈津美さん

 公開中の劇場版パペットアニメ「ちえりとチェリー」(中村誠監督)で、主人公の少女・ちえりの声優を務める高森奈津美さん。高森さんは「アイドルマスター シンデレラガールズ」など数々のアニメでメインキャラクターの声優を務める人気声優だが、パペットアニメに出演するのは初めて。高森さんは、少女を演じるにあたり、子供の声を研究したといい「チャレンジだった」と語る。高森さんに同作への思いや声優としての活動について聞いた。

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 ◇子供の声を研究 パペットアニメの難しさとは?

 「ちえりとチェリー」は、「チェブラーシカ」を日本で復活させた中村監督が手がけるパペットアニメで、父親を亡くした少女が、大好きなぬいぐるみのチェリーと大冒険しながら、命について見つめる……というストーリー。星野源さんがチェリーを演じるほか、声優として尾野真千子さん、栗田貫一さん、田中敦子さんらが出演している。ユーロスペース(東京都渋谷区)ほかで上映中。

 高森さんと同作との出会いは、約5年前にさかのぼる。当時、パイロット版の収録に参加したといい「パイロット版の段階では人形はなかったので。絵コンテを見ながらアフレコをしました。当時は、アニメ寄りなイメージで演じたのですが、中村監督には『そんなに可愛くなくていいよ』とアドバイスされました。小さい女の子なので可愛くしようとしていたんですね」と振り返る。

 アフレコは、パイロット版の収録から約3年の時を経て行われた。高森さんはアフレコまでの約3年間、ちえりを演じるために、子供の声を研究していたといい「本番で、ちえりを演じるにあたって、どうするか?を考え、子供の声を聞こうとした。子役が出ているドラマや映画を見たり、外を歩いている時、幼稚園児が散歩しているのを見て、どういうふうにしゃべっているかを聞いていました」と明かす。

 子供の声を研究する中で「お芝居では普段、感情を込めてしゃべろうとするけど、子供は感情と言葉が同時に出てくる。嫌なことがあったら、感じた瞬間に声が出る。考えてしゃべっちゃいけないんだ……と思いました。それに、会話のキャッチボールのテンポが速かったり、うれしい、悲しいの感情が一瞬で切り替わるんです」と気付かされることが多かったという。

 また、パペットアニメは初挑戦だったこともあり「難しいと思いました。実写に近いんですね。キャラクターの口が小さいので、どうしゃべるんだろう?などと考えてしましました。アニメのアフレコと同じような気持ちで臨むのは違う。(映像と)なじむことを意識しました」と苦労を語る。

 ◇星野源からサイン求められる

 アフレコはチェリー役の星野さんと一緒に行った。高森さんは「ちえりとチェリーは、掛け合いが多いので、一緒にやらせてもらってよかったです。チェリーはお父さんのような存在と思っていたら、星野さんが演じている声を聞いて、お父さんではなくて、お友達なんだ!と分かった。チェリーに対する接し方も変わりました。星野さんと一緒にやらせてもらえなかったら、かみ合っていなかったかもしれません。感動しましたね。お話がよりクリアに見えてきました」と共演を喜ぶ。

 星野さんはアニメファンとしても知られている。高森さんは「アフレコが終わってから、星野さんが(高森さんがヒロインの声優を務めたアニメ)『Another』のパッケージ(DVD)を持っていて『サインしてください』とお願いされたんです。星野さんは(同作を手がけた)水島(努)監督のファンらしいです。中村監督には(脚本を手がけた)『CLANNAD』のパッケージにサインをもらっていました。私は、星野さんに遠慮していたところもあって、星野さんのCDや本を持ってくるのを我慢していたのに……。こんなに気さくな方なんだ!とびっくりしました」と星野さんの“素顔”を明かす。

 ◇等身大の演技が増えてきた

 高森さんは09年にデビューし、「ジュエルペット てぃんくる☆」「プリティーリズム・ディアマイフューチャー」「アイドルマスター シンデレラガールズ」などさまざまなアニメでメインキャラクターの声優を演じてきた。「初の主役が『ジュエルペット』で、その印象があったのか、最初の1、2年は小中学生の役が多かった」と振り返る。一方で、近年は演技が変化しつつあるという。

 「最近は『等身大でやってください』と言われることが増えてきたんです。うれしいことでもあるし、プレッシャーもある。自分の声の魅力が考えられないし、自分の声が好きではない。恐る恐るやってみて、オンエアを見てみると、なり立っていると思えるようになってきたんです。自分も出して、キャラが生きてくればいいんだ……と感じることが増えてきました」と“表現者”としての成長を実感しているようだ。

 「『ちえりとチェリー』もチャレンジでした。ちえりは抱えているものが重く、難しかったんです。チャレンジできる作品にたくさん関わらせていただけるのがうれしいですね」と話す高森さん。そんな高森さんの次の“チャレンジ”にも期待したい。

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