早乙女太一:「ふたがしら」続編で新たなチャレンジ 撮影秘話も

「連続ドラマW ふたがしら2」に出演する早乙女太一さん
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「連続ドラマW ふたがしら2」に出演する早乙女太一さん

 俳優の早乙女太一さんが出演する時代劇ドラマ「連続ドラマW ふたがしら2」(WOWOW)が、17日にスタートする。今作は、昨年放送された「ふたがしら」の続編。「前作を引き継ぎつつ、役柄の関係性が変わったり、ドラマ的な要素も増えて、また違った作品のようになっています。僕自身、新たなチャレンジもたくさんできました」と充実感をにじませる続編の魅力や共演者との舞台裏を、早乙女さんに聞いた。

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 ◇役柄にシンパシー「実生活とリンクする」

 「ふたがしら」は、オノ・ナツメさんのマンガが原作。江戸を舞台に、松山ケンイチさん演じる明るく豪快な盗賊・弁蔵と、早乙女太一さん演じる頭脳明晰(めいせき)でクールな相棒・宗次が、「脅さず殺さず、汚え金を根こそぎいただく」をモットーに、巧妙な駆け引きやだまし合いで“つとめ”を遂行していく姿が描かれる。

 続編「ふたがしら2」は、前作で盗賊一味「赤目」を抜け、自分たちの一味「壱師」を築いて頭(かしら)となった弁蔵と宗次の、その後の物語。前作に引き続き、演出は「ジョーカー・ゲーム」などで知られる入江悠監督、脚本も「劇団☆新感線」の中島かずきさんが手がけている。

 「前作は、2人の若造がいきがって一味を飛び出して、旅に出て、自分たちの一味を作ったところで終わって。続編はそれから半年後の話になるんですが、前作と大きく違うのは背中に背負うものができたので、背伸びしている部分があったり、弁蔵と宗次の向き合い方や関係性にも変化が生じます」と今作について、早乙女さんは語る。

 自身が演じる宗次も、前作は「クールな色男」という側面が強かったが、「今回は子分もできて、胸を張っている部分があったり、逆にみんながいるからこそ肩の力が抜けたナチュラルな部分もあったり。前作ではあまり感情を出さなかったんですが、今回は割と感情が出るところもあるし、けっこう振り幅を大きくしたつもりでいます」と続編では変化をつけて演じたという。

 また、宗次に対しては、シンパシーを感じる部分もあるといい、「(脚本を担当する)かずきさんが僕のことを17歳から見てくれているので、たぶん似ている部分もあるのかなと思うんですけど、本当に僕に通ずるところが前作からたくさんあって。昨年ずっと所属していた劇団(「劇団朱雀」)を解散して、一人の役者としてやっていこうと踏み出した最初の作品が『ふたがしら』でした。もともといたところから抜けて、自分の一味を作るために旅をして……というお芝居が実生活とリンクしています。役の気持ちを考えていると、どうしても自分に近いところがあるから、いろんな思いが出てきますね」と役柄への並々ならぬ思いを語った。

 ◇松ケンからアドバイス 新たなアプローチで撮影に臨む

 「ふたがしら2」では、前作から引き続き、弁蔵役の松山さんをはじめ、敵対する「赤目」の元頭(かしら)・甚三郎役で成宮寛貴さん、甚三郎と恋仲にあるおこん役で菜々緒さんも続投。「壱師」のメンバーに、渋川清彦さん、芦名星さん、謎の町人役で大森南朋さんが登場する。

 再びタッグを組んだ松山さんについて、「すごく柔軟な方で、瞬発力もあるし、振り幅も大きい」と語り、「前作からそうですけど、僕は映像の現場が分からないことだらけなので、松山さんに全部聞いて、いろいろ教えていただきました」と感謝する。さらに、「僕は思っていても『やらない方がいいかな』と尻込みしてしまうタイプなんですが、松山さんが『とりあえず行動した方がいい』と言ってくれて。今回は少しでも頭をよぎったことはできるだけやってみようと思いました。それは前作とは大きな違いです」と松山さんのアドバイスから、新たなアプローチで現場に臨んだという。

 そのため、撮影の打ち上げで、入江監督やカメラマンから「すごく変わったね。何があったの?」と聞かれたというが、「前作は守りに入っていたと思うんですが、今回は役だけではなく、前作からのキャストやスタッフさんといった仲間がいるので、最初から心に余裕を持ってスタートできました。その分、監督にいろいろ演技の提案をしたり、『壱師』の仲間とせりふの相談をしたりと、新しいチャレンジをすることができました」と笑顔で撮影を振り返る。

 「前作では、松山さんと2人でいることが多かったんですけど、今回は『壱師』のメンバーでご飯に行ったり、休みの日に遊びに行ったり。撮影の合間は、成宮さんと菜々緒さんとも敵味方関係なく、まとまっていましたね。ものまね対決をしたり、誰が足が一番上がるか競ったり(笑い)。そのお陰で本番のときも、お互いに気を使わずにやってみたいと思ったことを素直に言い合えることができました」と現場のチームワークのよさも、作品作りに反映しているようだ。

 ◇殺陣のシーンで酸欠に 渾身のテイクも

 今回、完成した続編について「やっとはじめの一歩なんじゃないかと思っています。(弁蔵と宗次が)思いを形にして、それを背負って勝負に出る社会への一歩というか、すごく重たい一歩みたいな感じがしますね」と語り、「前回も含めた経験が役者もスタッフもあるので、よりよくなっていると思います」と胸を張る早乙女さん。

 脚本の魅力を「かずきさんが描く人間はみんな真っすぐで、エネルギッシュ。決めぜりふも多くて、それが真っすぐに伝わってくる」と語り、「監督が最初に『ちゃんとした時代劇にしたい』とおっしゃっていたんですが、時代劇ならではの色っぽさもありつつ、音楽もカッコいいし、今っぽい魅力が入っています。こういう作品こそ、若い人たちに見てもらいたい」とアピールする。

 また撮影裏話として、今回も登場する殺陣のシーンで、「酸欠になって、何も見えなくなったことがあったんです」と告白。「カッコいい殺陣というよりは、気持ちを爆発させたシーンにしたいと思って演じていたんですが、カットを刻みながらの撮影で、毎回始まる前に息を上がらせてから呼吸を止めて疲れ具合を表現していました。でも息を止めすぎて……『よーい、カン!』で息を吐いたら、それでファーとなって、何も見えなくなってしまって。ただ振り返るだけの撮影だったのですが、完全にやられたなって」と語る早乙女さん渾身(こんしん)のテイクも含まれていることを明かした。

 ドラマは、17日から毎週土曜午後10時にWOWOWプライムで放送。全5話。初回は無料放送。

 <プロフィル>

 1991年9月24日生まれ、福岡県出身。大衆演劇「劇団 朱雀」2代目として全国の舞台を踏む一方、2003年に北野武監督の映画「座頭市」出演をきっかけに一躍脚光を浴び人気を博す。映画「TAKESHIS’」(05年)、NHK大河ドラマ「風林火山」(07年)など映像作品にも活躍の場を広げる。08年に16歳で新歌舞伎座の最年少座長を務め、劇団☆新感線の舞台「蛮幽鬼」(09年)、「髑髏城の七人」(11年)、「蒼の乱」(14年)にも出演。15年に「劇団朱雀」を解散後、最初の作品として「ふたがしら」に参加した。また、映画「たたら侍」(錦織良成監督)が17年に公開予定。

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