ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
劇場版アニメ「思い出のマーニー」(2014年)などを手がけたスタジオジブリ出身の米林宏昌監督が、17年夏公開予定の劇場版アニメ「メアリと魔女の花」を製作すると15日、発表した。同日、会見に出席した米林監督がスタジオジブリや宮崎駿監督への思いなどを語った。
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「メアリと魔女の花」は、英国の女流作家メアリー・スチュアートさんが1971年に出版した児童文学「The Little Broomstick」が原作。背が低く、クセっ毛に赤毛にそばかすの平凡な11歳の少女メアリが主人公で、何をやってもうまくいかなかったメアリが、ひょんなことから奇想天外な大冒険に巻き込まれ、勇気を持って前に進む姿を描く。
米林監督は2014年末にスタジオジブリを離れ、2015年4月に「思い出のマーニー」でタッグを組んだ同じジブリ出身の西村義明プロデューサーとアニメ制作スタジオ「スタジオポノック」を設立。会見には西村さんも出席した。西村さんは「思い出のマーニー」が公開された打ち上げの席でお酒が入る前に米林監督に「もう1本、映画(長編アニメ)を作りたいですか」と尋ねたといい、「麻呂さん(米林監督の愛称)は映画を1本作り終えたばかりで心身ともにボロボロなのに、『もう1本、映画を作りたいです』と即答だった」ことを明かした。
米林監督は「僕が初めてジブリの製作部門の解散を聞いたのは2013年のことで、鈴木(敏夫)プロデューサーに呼ばれてそう告げられた。僕自身はいつ解散してもおかしくないという覚悟は持っていたので、そのときはそれほど驚かず真摯(しんし)な気持ちで受け止めた」といい、その後について「ジブリでないところで作品を作り続けていけるのか(自問自答した)。やるためには西村さんと苦労していこう、と」と覚悟を決めたという。
長編を作るにあたって、西村さんは「マーニーと真逆をやろうと思った。元気な女の子がダイナミックに動き回るファンタジーをやろうと」と考えた。米林監督に「モチーフは魔女です」と告げると苦笑していたそうだが、「僕らは子供時代に(『魔女の宅急便』という作品に出合えて)幸福な経験をした。だから、僕らは今のお客さんに向けた全く新しい魔女の作品を作ろう」と話したという。
米林監督は「マーニーは動と静で言えば静の作品。動の作品を作りたいと思った。ジブリ以外のスタッフも入れて、ダイナミックな作品を作りたい。思いきり動くけれど、女の子の心に寄り添う作品にしたい」と意気込みを語った。
「メアリと魔女の花」を作るにあたって、2人で宮崎駿監督に報告しに行った。宮崎監督は「思い出のマーニー」のあとで「長編ぶっ続けはつらいだろう。ジブリ美術館の短編作ったら」と最初は言っていたが、西村さんが「2人で長編を作ります」と告げると、「だったらこんなところ来るな、すぐ帰れ。長編を作るのなら覚悟を持って作れ」と言ったという。米林監督も「長編を作っていると言ったら宮崎さんが『うれしい』と素直に言われた。改めて気を引き締めた」とふんどしを締め直した。
ジブリの鈴木プロ―デューサーに西村さんが話した際も「長編映画を作るなら覚悟を持ってやれ」と告げられた。西村さんは「鈴木さんとは今でも1カ月1回くらいの頻度で会っているが、チラシやコピー、ポスターなどは今回は鈴木さんに見せませんと宣言しました。鈴木さんもそれがいいと言っていた」とジブリとは一線を画すつもりだ。
西村さんが製作を担当した「かぐや姫の物語」(13年)の高畑勲監督には「高畑さんが嫌いなファンタジー作品を作っているので教えられない」と初めは新作の内容を伝えなかった。だが、「骨子を教えてほしい」と高畑さんから言われ、伝えると「面白いな」と興味を示したという。「その話を聞く限り、僕と宮さん(宮崎駿監督)が『ニモ』という映画で企画したことを実現しようとしている」と語ったという。西村さんは「相談や絵コンテはお見せしていない。完成した作品を見ていただけるか、どんな感想をお持ちになるのか楽しみ」と話した。
製作には「約8割がジブリの正社員だった人やジブリに関わった人」が参加するという。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの撮影監督を務めた福士享さん、ドワンゴ、カラー、スタジオポノックの3社による背景美術会社「でほぎゃらりー」に所属する「バケモノの子」(細田守監督)や「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の美術監督なども名を連ねているという。
米林監督は「たくさんの人の目に触れる作品になる。作り方を間違えると(見た人が)傷を受けてしまったり、間違った道に誘導してしまう。今の時代のこと、見てもらう人のこと想像しながら作品を作っていかなければいけないというのが、最大の覚悟だと思っている」と決意を語った。西村さんは「麻呂さんにもスタジオポノックのスタッフにもジブリの血が受け継がれている。(『メアリと魔女の花』は)3人(宮崎監督、高畑監督、鈴木プロデューサー)で作ったジブリが培ってきたもの、ジブリ人生のすべてを注ぎ込んだ作品になる。頑張って作っていきたい」と前向きに語った。
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