米マーベル・コミックを題材に、銀河のはみだし者たちの活躍を描くSFアクション映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(ジェームズ・ガン監督)が公開された。吹き替え版で、主人公の「スター・ロード」ことピーター・クイルの声を演じた声優の山寺宏一さんに作品の魅力や、アフレコなどについて聞いた。
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映画は、2014年に公開された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に続く、シリーズ第2弾。地球生まれ、銀河育ちのピーター・クイルをリーダーに、宇宙のはみ出し者チーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が銀河を救うため奮闘するストーリーで、今回は、「ピーターの父親」と名乗る謎の男エゴが登場し、ピーターの出生に隠された真実が明らかになる。
前作に続き、吹き替えを担当した山寺さんは、同シリーズの魅力を「振り幅やギャップ」という。SF、コメディー、人情、アクション……とさまざまな要素が組み合わさり「いろんな要素がてんこ盛り。そのバランスがいい。キャラクターも、その関係性も、込み入っているようでいて、ごちゃごちゃしていない。○○でいて○○という部分がいっぱいある。万人向けでみんなが楽しめる映画。個人的にはノリやセンスが大好き」と心を奪われているようだ。
中でも1970~80年代の楽曲を使った劇中曲は手放しで称賛。自身が好きな英国のロックバンドの曲がいくつも使われていることもあり、完全にノックアウトされている。
「ニクい! 大ヒット曲ばかりじゃなくて、なるほどなと思う硬軟取りまぜた選曲で粋。フリートウッド・マックのザ・チェインは、普通、SFでは使わないですよ。僕が学生時代にすごく売れたけど、もう当時、聴いた人しか覚えていないと思う。僕はスティービー・ニックスが好きだったんです。それと前作でエレクトリック・ライト・オーケストラ(の曲)を、なぜ使わないのかと思っていたので、今回(ミスター・ブルー・スカイが使われて)やっときたかと思いましたね」と満面の笑みを見せる。
一方、好きだからこその“注文”もあるようで「予告編でスウィートのフォックス・オン・ザ・ランを聴いて『やった!』と思ったあと、『(自分が)大好きなアクションもよかったのに……!』と思いました。(同シリーズの)3弾ではアクションを使うと思うなあ」とシリーズ第3弾の製作も発表されていないうちから、予想に熱を込めていた。
今回のアフレコは「近年、こんなに(繰り返し)やることはないというぐらい、一つのせりふに時間をかけた」という山寺さん。自身は今年6月に56歳となるが、ピーター・クイルを演じたのは、30代のクリス・プラットさんのため、「老けないように、若めに」と気をつけ、さらに「『クリス・プラットと言えば山ちゃん(自分)』と言われるように、認めていただかなきゃいけないので必死でした」と振り返る。
日本を代表する声優の一人だが「我々、声優は作品とキャラクターとの出会いがすべて。役は星の数ほど、無限にあるから何にでもチャレンジしたい」といい、「プラットさんの吹き替えができるような、僕より若い世代の声優は今いっぱいいますし、(吹き替えのオファーは)日本語を話せる人、全員が対象ですから。その中で、この最高に面白くて、音楽も最高な作品のキャストに選んでもらえて感謝しています」と感謝の言葉を口にした。
そして最後に山寺さんは「でもこれはお客さんには関係のない話」と切り出した。「お客さんには、声優のことなんて少しも気にせずに映画を見て、楽しんでほしい」とあくまでも声優が“黒衣”であることを強調する横顔には、職業声優としての誇りがにじむ。「見終わったあとに、山ちゃんがやっていたんだって思ってくれて、その吹き替えがよかったと、どこかに書き込んでもらえれば」とちゃめっ気たっぷりの表情で語っていた。
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